北海道を拠点に活動する写真家・安永ケンタウロスの新作個展が東京・青山で2年ぶりに開催

写真家 安永ケンタウロスによる個展「水辺の肖像 | waterside portrait」が東京・南青山の「LIGHT BOX SATELLITE」で2025年8月30日から9月7日まで開催される。2年ぶりとなる都内での新作個展であり、作家本人も北海道から在廊を予定している。本展は現在安永が暮らす北海道・東川町を拠点に、川や湖といった自然の水辺で撮影された写真作品で構成されている。水温や緯度経度といった客観的な数値が添えられた作品群は、いずれも「企図や目的はない」と作家は語るが、作品に刻まれた「場所」や「時間」は、作家自身が歩き、感じ取った水の表情そのものと言えるかもしれない。

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DM 「09°C_43°38'02.0"N 142°41'42.8"E」 ©️Kentauros Yasunaga

スーザン・ソンタグが『写真論』(1979年)で語ったように、「絵画が手作りの原作」であるのに対し、「写真は模倣芸術の中でもっとも写実的で、したがって手軽なもの」である。安永は、写真が持つこの“複製されること”の本質に向き合い、移動や行動といった「Pragma(プラグマ)」の感覚を通して、記録ではなく「肖像」としての水辺を写し出している。各写真は流れ・深さ・風・太陽の位置・光の乱反射といった、その瞬間にしか存在し得ない環境の“微差”を内包しており、それが「肖像」としての一回性を強く主張している。人が歩くこと、観察すること、その感覚の中にある普遍性と不変性——安永の写真表現は、写真という複製芸術において、唯一性を取り戻そうとする試みとも言える。

ARTIST STATEMENT

たゆまなく流れる水。ぶつかり、はじけ、つつまれてはもどり、くりかえす。変幻自在に身を染め、手をとりあう。あらゆる情報の器。
人の水分量は年齢とともに変化する。その量によって見えるもの、感じるものもまた変化する。水辺の表情に自己投影した光や影の存在を見つけることがある。それが語りかけてくるものは、あなた自身の心の声なのかもしれない。
今回、北海道を中心にまとめた「水辺の肖像」。どうぞ、心を澄ませてご高覧いただければ幸いです。

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「15℃ 43°37’24.4”N142°46’15.7”E」©️Kentauros Yasunaga

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「13°C 43°38'00.3"N142%1'32.0"E」©️Kentauros Yasunaga

安永ケンタウロス(Kentauros Yasunaga) プロフィール

フィリピン生まれ。アマナに入社後、2015年に独立。2020年にkKkK inc.を設立。広告を中心に雑誌・書籍などでも活動。交通広告グランプリ サインボード優秀作品賞、日経産業新聞広告賞 情報・エレクトロニクス部門賞、毎日広告デザイン賞 優秀賞、D&AD In Book賞など受賞歴多数。主な作品展に「monaural|」「The pieces of Hokkaido」「水辺の記憶」「双想奏」など。 

「水辺の肖像 | waterside portrait」開催情報 

会場LIGHT BOX SATELLITE
 会期2025年8月30日(土)から9月7日(日)まで
 開場11:00〜19:00
URLhttps://tinyurl.com/33smsz7r