構成と偶然の交錯が織りなす緊張と調和の美

前田紗希個展「Interplay」がMISA SHIN GALLERYで2025年5月10日（土）から6月7日（土）まで開催される。油彩による抽象絵画を発表してきた前田の、初の試みとなるドローイング作品を含む新作展示となる。

Maeda Saki, 24_27, 2024, Oil on canvas, 130 x 162 cm, Photo by Yasuyo Takahashi

Detail : Maeda Saki, 24_27, 2024, Oil on canvas, 130 x 162 cm, Photo by Yasuyo Takahashi

Detail : Maeda Saki, 24_27, 2024, Oil on canvas, 130 x 162 cm, Photo by Yasuyo Takahashi

前田の作品に通底するのは、構成と偶然、抽象と物質感、感覚と理性の間に立ち上がる緊張と調和の美。画面を斜めに貫く線や、幾重にも重なる三角形のレイヤー、繊細にコントロールされた色面が織りなす構造は、均衡を保ちながら、常に変化の可能性を内包している。静かに立ち現れる画面の奥行きには、透視図法の残像や折り紙の展開図のような、二次元と三次元を往還する感覚が宿っている。今回初めて発表されるドローイング作品では、より即興性と軽やかさが強調され、これまでの油彩作品とは異なる表情を見せている。メディウムや技法の違いはあるものの、支持体である紙の表層に宿る構成的な鋭さと静かな緊張感は、油彩画とドローイングの間に生まれる関係性を通奏低音として、前田の思考の動線を明確に浮かび上がらせている。