鮮やかなイメージが発する作品制作の背景から、自己を見つめるための普遍的なヒントに迫る
アマナはアート写真の季刊誌『IMA』vol.34 (2020年冬号)「特集:ヴィヴィアン・サッセン、その鮮烈なるビジョン」を刊行した。2000年以降の写真表現における変革に、デジタル化が大きな影響を与えたことは疑いようもない事実だが、同じくらい重要なファクターとして挙げられるのがヴィヴィアン・サッセンというアーティストの登場かもしれない。
ジャンルを横断して影響を与えたビジュアルランゲージのインパクトは、「サッセン以前、以降」という線引きをしてもいいと言ったら言い過ぎだろうか。制作の裏側に潜む彼女の人生における重要な出来事、思考の軌跡、そして意識の変容。それらを探索し、考察する作業は、私たちが時代に対峙し、自己を見つめる普遍的なヒントを与えてくれる。いま改めて、鮮やかなイメージが発する声に耳を傾けてみたい。
また第二特集として現在、東京で個展を開催中のヴォルフガング・ティルマンス。 最新作を含む近年の作品を振り返りながら、今年のコロナ禍での自身の活動を余すことなく語り尽くしたロングインタビューも一挙掲載。
写真家 ヴィヴィアン・サッセン / Viviane Sassen
1972年、オランダ、アムステルダム生まれ。幼少時を南アフリカで過ごす。ユトレヒト芸術大学、及びアーネム王立芸術アカデミーでファッションと写真を学び、卒業後ファッションフォトグラファーとして活動を開始。2012年の回顧展「In & Out of Fashion」を始め、シカゴ写真美術館、The Photographer’s Gallery(ロンドン)、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ内メイン・エキジビションなど、世界中で個展を開催。2011年、インフィニティ賞(ニューヨーク国際写真センター)など受賞多数。2019年にはヴェルサイユ宮殿で行われた現代美術展覧会の5人の写真家に選ばれた。