FUMA Contemporary Tokyoで初個展を開催
FUMA Contemporary Tokyoで稲田侑峰による木彫展「君の手を僕に預けて」を 2025年1月10日(金)から 1月25日(土)まで開催する。稲田侑峰は国内外で注目を集める彫刻家で、彼の作品は一貫して人物をモチーフとしており、その表現はプライベートな空間を連想させるパーカーや布団、枕といった身近なアイテムで包まれている。

君の手を僕に預けて|Lay Your Hands On Me|2024 | camphorwood | H167×48×51cm君の手を僕に預けて|Lay Your Hands On Me|2024 | camphorwood | H167×48×51cm
これらの作品は国籍や性別、年齢といった属性を超越し、個人的でありながら普遍的な世界観を創り出している。無彩色の彫刻は彫りの強弱による陰影のみで形を描き出しており、布の柔らかな流れやシワにはバロック期の彫刻の影響が、均整の取れた人体表現にはルネサンス彫刻の影響が見られる。これを石ではなく、温もりと儚さを感じさせる木材で表現することで、独自の質感と存在感を生み出している。本展では新作彫刻に加え、設計図となるドローイングや木彫を原型にした作品群を展示する。
アーティストステートメント
今回の個展は「君の手を僕に預けて」と題し、学生時代から一貫して人物をモチーフに制作を続けてきたが、これは「人間の存在」への興味から始まったものだ。身近な自分の内面を起点とした作品を経て、近年では「自己と他者の距離」や「社会の中での人の変化」へと関心が移りつつある。本展のタイトルと同名の作品《君の手を僕に預けて》では、羽毛布団を抱きしめる人物像を表現した。この羽毛布団は、私が「美しい」と感じるフォルムではない。形が唐突に切り替わったり、量のバランスが不安定だったりと、従来の作品には取り入れなかったアンバランスさをあえて採用した。この不確かさを抱きしめる人物像が作品の要となっている。自分が培ってきた彫刻感や物の見方とは異なる土台を起点に、これまでとは異なる過程を経験することで、新たな道筋を模索してきた。その結果が何なのかはまだ明確ではないが、「君の手を僕に預けて」というタイトルに込めた思いを、作品を通じて感じとることができるかもしれない。

waiting time (wood color ver.) | レジンキャスト、樟 | H41×11×12cmwaiting time (wood color ver.) | レジンキャスト、樟 | H41×11×12cm
稲田侑峰 プロフィール
稲田侑峰(1986年兵庫県生まれ)は2015年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻彫刻専攻領域を修了し、彫刻家として活動を続ける。学生時代から一貫して人物をモチーフとした作品を制作し、その人物像はパーカー、スウェット、布団、枕といったプライベートな空間で使用されるアイテムに包まれている。これにより、国籍や性別、年齢といった属性を超えた、個人的で普遍的な世界観を表現している。また、無彩色の彫刻は、彫りの強弱による陰影のみで描かれ、布の柔らかな流れや皴にはルネサンス彫刻の影響が感じられる。
稲田侑峰展「君の手を僕に預けて」開催概要
会期 | 2025年1月10日(金)から1月25日(土)まで |
会場 | FUMA Contemporary Tokyo|文京アート |
時間 | 12:00〜19:00 |
休館 | 日曜日、月曜日 |
観覧 | 無料 |
URL | http://bunkyo-art.co.jp/ |