テーマは「織り目に流れるもの」
2025年11月22日(土)から12月14日(日)まで開催される布の芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK 2025」の、参加アーティスト第2弾が発表された。すでに発表になっている相澤安嗣志、安野谷昌穂、上條陽斗、齋藤帆奈、柴田まお、Jia Ling Lee、長谷川彰宏、増田拓史、松本千里に加え、2021年に誕生したイッセイ ミヤケのブランド「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(エイポック エイブル イッセイ ミヤケ)」や永田 風薫の参加が決定したほか、スペイン、チェコ、インドネシアなどからも国際色豊かなアーティストの参加が続々決定した。
今年のテーマは「織り目に流れるもの」。織物の下層で脈打つ織機の音や手のリズム、記憶、土地の気配に焦点を当て、織物という表層からその文化背景や歴史の深層を探ろうとする試みとなる。出展される多くの作品は、地元の織物事業者が協力し、素材提供や技術提供を行っている。チケット購入については公式サイトで確認できる。
[アート展]参加アーティスト
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE
- 参考作品《TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE》
1998年に発表したA-POCは、服づくりのプロセスを変革し、着る人が参加する新しいデザインのあり方を提案してきた。作り手と受け手とのコミュニケーションを広げ、未来を織りなしていくブランド。
永田風薫(Fuka Nagata)
- 参考作品《家政 – 部屋と声、動作のためのサウンドトラック》2025
1998年 静岡県生まれ。メディアアーティスト。2021年 東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。2024年 東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。都市空間に流れる音や音楽を扱った作品制作やエレキギターの演奏を通して、音が持つ社会的な力や政治性について考えている。また、土地や人物を写真や録音などを通して記録することや、記録を再生することによる対象の変化に着目し、作品を制作している。
[レジデンスプログラム]参加アーティスト
アレッサンドラ・コラッツィーニ(Alessandra Corazzini)
- 参考作品《The Shape of Absence 不在のかたち》
映画監督/作家/クリエイター。中東とイタリアのルーツを持ち、多言語の家庭環境により「言語的アイデンティティ」の複雑さを抱えながら育つ。文化的伝承や物語の連続性が希薄化した現代社会における「宗教」「芸術」「神秘主義」の交差点を探究し、「アイデンティティ」と「土地」の関係を軸にした作品を制作する。
UMPRUM
- 参考作品《It is hot, yet there’s shade in the garden》
チェコ共和国の首都・プラハに位置する応用美術大学。欧州および世界の有力なアートスクールのランキングにも名を連ね、創立140周年もの歴史を持つ教育機関で、学内には分野別に24個のスタジオが設けられている。今回出展する 「テキスタイルスタジオ」は、テキスタイルを「人と建築、人と人をつなぐ遍在する要素」と捉え、技術・知識・想像力の融合によって、学生が自己の芸術・工芸の実践を深める画期的な学舎。伝統的な職人技と芸術的表現を基盤にしながらも、グローバリゼーションや持続可能性、デジタル技術など現代的なテーマとも密接に関わる活動を行っている。
インタン・アンギタ・プラティウィ(Intan Anggita Pratiwie)
マルチ・ディシプリナリー・アーティスト、サステナブルファッション研究者。Setali Indonesia創設者。2004年より約20年にわたりサステナブルファッション運動に関わる。2012年に使用済みデニムとインドネシアの伝統的なイカット織を組み合わせた「社会的意義を持つファッションブランド」を立ち上げる。2014年女性活躍担当大臣および情報通信大臣から芸術文化分野で「Kartini Next Generation Award」を受賞。2015年国連人口基金より「インドネシアの若きチェンジエージェント20人」の一人に選出された。
大木もと子(Motoko Oki)
- 参考作品《Swimming in the colors》
染色家。伝統的な手染めの技法を用い、自然における色彩や質感の美しさをテーマに作品を制作する。臈纈染め・抜染・顔料によるシルクスクリーンなど、多様な技法を組み合わせ、布の上に多層的で自由な表現を探求、再現性のない独自の美を目指す。 2017年より手染めによる衣のレーベル〈Funatabi Atelier〉を主宰し、全国で個展を開催している。舟旅という名は過程を慈しむ制作過程に由来する。
キンバリー・クッキー=ガム(Kimberley Cookey-Gam)
イギリス系ナイジェリア人アーティスト。 クラフトを通じた癒しを探求し、生物模倣、スピリチュアリティ、そしてイボ族の文化的ルーツに基づいている。かぎ針編みを用いて有機的・細胞的な構造を拡大し、それらを彫刻、衣服、そして機能的なオブジェへと変容させる。これまでにSARUYA Artist Residencyに参加しており、FUJI TEXTILE WEEK 2025会期中も富士吉田市内に滞在して活動中。
平田基(Motoi Hirata)
- 参考作品《波のうえのテラス、あるいは啄まれるトランチケーキ》
1993年生まれ。京都在住。人間の生命について制作を行う。
メイタ・メイリタ(Meita Meilita)
- 参考作品《unisex》2022
メイタ・メイリタは、テキスタイルとクラフトを通じて「記憶」「歴史」「生の経験」の交差点を探究する。女性であり母であるという自身の視点から、手刺繍と機械刺繍の両方を用い、芸術表現手段であると同時にアーカイブの方法として実践する。公的な歴史記録からこぼれ落ちた物語に焦点を当て、個人的な物語や口承史、記憶を宿したオブジェを集める共同的なプロセスから作品を制作する。
「FUJI TEXTILE WEEK 2025」開催概要
会期 | 2025年11月22日(土)〜12月14日(日) |
時間 | 10:00〜17:00 会場により16:00閉館 |
会場 | [総合案内所]山梨県富士吉田市下吉田2丁目16-19 |
休館日 | 11月25日(火)、12月1日(月)、8日(月) |
URL | https://tinyurl.com/3kwzj8p9 |