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ケベックの街にパブリックアートサーキットが出現

ケベックの街をパブリックアートで埋め尽くすパブリックアートの祭典「パッサージュ・アンソリテ」が、EXMUROとヴィンセント・ロイ(芸術監督)、ケベック市によって開催中。2021年6月26日に前代未聞のスケールでスタートして、既に大成功を収めている当イベントは、10月11日まで開催される。

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Nicole Banowetz (Denver, United States), "An Adaptive Moment", 2021, Photo : Stéphane Bourgeois

ケベックのみならず世界中から集まったアーティストによる21の作品が、ケベックの街に魔法をかけ、我々に新たな街の姿を見せてくれている。本イベントは街を訪れる全ての人々に公開されており、様々な刺激を受けながら芸術を満喫できるアートの散策は、家族で安心して楽しめるアクティビティでもある。街の至る所に出現するアートで、予測不可能な、今だけの出会いを体験することができる。

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Benedetto Bufalino, (Lyon, France), "Lawn Cars", 2021, Photo : Stéphane Bourgeois

メインサーキット

メインの舞台は、オールドポートとサンロシュ、サンソヴェールに囲まれた地域の、プティ・シャンプランからパレス・ロイヤルに至る5㎞に及ぶ道。黄色の線を目印にこの道を進むと、点在する21のアート作品に出会うことができる。想像力とユーモアに大胆さをプラスしたアーティストたちのチャレンジに、来場者は引き込まれ、驚き、そして予想外の喜びを感じることができる。時を捉えた詩との出会いに溢れたアートは、ケベックの街に永遠の魅力を与えている。

STYRELSEN FOR STÖR KONST (Stockholm, Sweden), The Anti Embassy - “The Most Equal Place in the World”, 2021, Photo credit: Stéphane Bourgeois_EXMURO

アートに彩られた歴史的ランドマーク

今回のイベントでは、ケベックを代表する様々なランドマークがアート作品で彩られている。

  • ケベック国会議事堂前の「King of the Mountain」by Charles-Étienne Brochu
  • グラン・テアトル・ドゥ・ケベック(芸術施設)前の「ARENA」 by Benoît Maubrey
  • シタデル要塞にて展示の「Through the Walls」 by Collectif Tel quel(芸術学校メゾン・デ・メティエ・ド・ケベックとEXMUROが初めて共催した学生コンペの受賞者)
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Charles-Étienne Brochu (Quebec City, Quebec), "King of the Mountain", 2020, Photo : Stéphane Bourgeois

また、歴史家のホセ・ドレが、2名の気鋭アーティストとコラボした作品では、作品を通して歴史に関する詳細な説明が行われている。

  • 「Last Stop」by Collectif du Tropique(EXMUROとラヴァル大学美術学部が共催した学生コンペの受賞者)。かつてサンロシュの街を活気づけていたコマーシャル・サイネージをフューチャーした彫刻インスタレーション。
  • 「Delirious Québec」by Collectif du Tropique。ケベックのランドマーク建築の数々を再生、再結合させた展示。
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"Delirious Québec", 2021, Photo credit: Stéphane Bourgeois_EXMURO

本イベント初のパフォーミング・アーツ

道に設置されたアート作品に加え、今回は初めて、ダンサーやサーカスパフォーマー、ミュージシャン、舞台俳優などのパフォーミング・アーティストが参加している。舞台となるのは、プチシャンプラン、パレスロワイヤル、そしてオールドポートの一帯。現実と想像の世界の境界線にまたがり展開される新しい空間は、魔法のようなひと時をもたらしてくれる。

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Mark Jenkins (Washington, D.C., United States), Untitled, 2021, Photo : Stéphane Bourgeois

エスパス400eがバッドアート美術館に

ケベック市の400周年を記念して建設された文化施設のエスパス400eが、この夏、期間限定で、世界の称賛すべきバッドアートコレクションを展示する美術館となる。ボストンのバッドアート美術館(MOBA)が初めてケベックの街を訪れ、「目をそらすには酷すぎる」作品の数々を披露。訪れた人々は、真価を認められることのない作品を生み出した芸術家の努力を称賛するとともに、熱意とはうらはらな、表現の乏しさを楽しむこともできるだろう。

世界中から集められたパブリックアート

ケベックだけでなく、世界中から大勢のアーティストが参加し、作品を披露している。

  • Benedetto Bufalino(フランス)「The Lawn Cars」
  • Benoît Maubrey(ドイツ)「ARENA」
  • Nicole Banowetz(アメリカ)「An Adaptive Moment」
  • Mark Jenkins(アメリカ)「Untitled」
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Benoît Maubrey (Berlin, Allemagne), "ARENA", 2017, Photo : Stéphane Bourgeois

本イベントは、スウェーデンの「エレブルー オープンアート ビエンナーレ」との初のパートナーシップにより、女性アーティストにフォーカス。3組のアーティストおよびアーティスト集団(STYRELSEN FOR STÖR KONST, Ulrika Sparre, Susanna Hesselberg)による作品を展示。2022年には、ケベックより3名のアーティストがスウェーデンのオープンアートで作品を展示する。

他都市への展開

今後、本イベントは、ケベックの他都市に加え、カナダや世界各国の都市へと展開し、地元のアーティストやその作品、仮設アートワーク展示のノウハウの宣伝などを行っていく。今年だけでも、トロワリヴィエール、テルボンヌ、モントリオール、ガティノーにて、本イベントで展示された作品が展示される予定。

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Collectif du Tropique (Quebec City, Quebec), "Last Stop", 2021, Photo : Stéphane Bourgeois

「パッサージュ・アンソリテ」初のカタログを発刊

今年は初めて、「パッサージュ・アンソリテ」の展示カタログが発行される。家にアートを持ち帰って楽しんでもらうため、また作品やアーティストについてより深く理解するために最適の一冊で、本イベントの思い出として大切にしてもらえる内容となっている。

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Susanna Hesselberg, (Malmö, Sweden), "When my father died it was like a whole library had burned down", 2015, Photo credit: Stéphane Bourgeois_EXMURO

EXMUROアーツパブリックスについて

EXMUROアーツパブリックスは、パブリックスペースにおけるデザインやコンテンポラリーアートのプロジェクトを手掛ける非営利団体。2007年より、パブリックアートに適した市内のアートスペースを探し求めており、数多くのプロジェクトを通して、パブリックアートの可能性を押し広げている。都会の生地にアートを織り込むことで、均一化や標準化を打破し、独自の創造性や驚きのある出会いを生むと考えている。15年にわたり、公共スペースのアートワークや学際的プロジェクト、大規模なプロジェクトに携わることで、コミュニティの形成や芸術性の進化を促している。また、ケベック市内の主要イベントのプレゼンテーションを任される他、市内でワークショップや空間デザインを手掛けており、経験豊富な技術チームを抱えている。パブリックアートのプロジェクトを国内外で展開。国外アーティストとのコラボレーションも行っており、パブリックアート界において国際的な評価を得ている。