新たな視点で日本とロンドンをつなぐ二人展「8144」
OIL by 美術手帖ギャラリーでは、染色家の石井亨と写真家のpiczoが新たな視点で日本とロンドンをつなぐ二人展「8144」を2023年5月26日(金)から6月19日(月)まで開催する。本展は石井が暮らす日本の国際電話番号「81」と、piczoが暮らすロンドンの「44」を組み合わせたタイトルに象徴されるように、新たな視点で日本とロンドンをつなぐことを試みる。
東京を拠点とする石井は、友禅染という伝統的な技法を駆使した作品を制作してきた。友禅の色鮮やかな技法で現代社会の事象や都市の風景を捉え、現代美術の批評性と伝統工芸の革新を試みる彼の作品は、その繊細さと表現力で注目を浴びている。一方で、piczoは写真家として多様なテーマを写真作品に込めてきた。フィルムカメラを用い、同時代の美しい瞬間を日記のようにグラフィカルかつ絵画的に美しく映し出す彼の写真作品は、写真作品のみならず広告や映像などの分野でも幅広い観客に訴えかけてきた。
「8144」展では、piczoの写真に石井の友禅が融合した新作シリーズ「Photo友禅」を発表。この新作では主に2つの主要な友禅技法「糸目友禅」、「型友禅」の工程と、3つのエフェクトが用いられている。また重要な点は、本来の友禅では顕になることのない途中経過を、作品の要素として残していることである。「糸目友禅」は、糸目糊と呼ばれる特殊な糊を使用して、染めたい箇所を区別。本作では、糊の代わりに顔料やアクリルを使用している。また「型友禅」は、型紙を使って柄を作る。通常、渋紙と呼ばれる特殊な紙で型紙を切り抜くが、本作では和紙や世界各地の紙、染め折り紙など、様々な材料を使用している。これにより、伝統的な型友禅に新たなアプローチを取っている。
さらに現代的なエフェクトとして「拡張解釈」、「リミックス」、「サンプリング」の要素も取り入れられ、「Photo友禅」はデジタルとアナログの往復、⼆⼈の異なる表現⼿法の交わり、そして伝統的な技法に対する新たな解釈とアイデアにより⽣み出されていく。本展は、2023年6月に京都へ、その後ロンドンへ巡回予定です。京都では古都の風景や伝統文化と共鳴し、ロンドンではpiczoが制作する環境と文化が反映され、新たなコンテクストにおいて作品が鮮やかに輝く。
石井亨 (Toru Ishii)
染色家。1981年静岡県生まれ。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻博士後期課程修了。友禅染という日本古来の染色技法を再考しながら、現代美術の批評性と伝統工芸の革新テーマに作品を制作する。東京藝術大学大学美術館、Morikami Museum(マイアミ)、Victoria and Albert Museum(ロンドン)に作品が収蔵されている。
piczo
大阪府生まれ。武蔵野美術大学でデザイン情報を専攻。その後ロンドンに移りロンドン芸術大学(UAL)のLCCで写真を専攻。時代を超えた絵画的な作品に魅了されたi-Dマガジンにて最初の注目すべき撮影を行った。 ロンドン在住。
石井亨、piczo「8144」展開催概要
会場 | OIL by 美術手帖ギャラリー |
会期 | 2023年5月26日(金)から6月19日(月)まで |
時間 | 11:00〜21:00 |
入場 | 無料 |