世界と音の繋がりをアートで表現する

アート領域で様々なDX推進事業を手掛けるbetween the artsは、世界は音で繋がっているという考えを元にサイトスペシフィックなアートを表現する渋田薫の個展「Lenny’s」を、2022年11月2日から11月16日まで、港区元麻布にあるアートギャラリーbetween the arts galleryにて開催する。本企画は、2021年に開催された日本アートテック協会主催のアートコンペティション「100人10(読み:てん)」において、between the arts賞を授与した7名の作家の個展を順次開催するもので、その第三弾となる。adf-web-magazine-shibuta-kaoru-lenny's-1

「音楽とアート」

性質の異なるそれぞれの芸術は、時に自由に境界線を超えてそれぞれの表現分野に踏み込んでいくことがある。渋田薫は、参照性のある作曲家と音曲から汲み取った感覚を様々な要素と交差させて、即興的に描きあげる。本展でまず奏でていくのは、レナード・バーンスタインのシンフォニックダンス。抽象的な表現に辿り着くまでに重ねられた楽曲と作家のリサーチにより、楽曲の高揚感溢れる印象とバーンスタインのオープンな人柄が、3メートル幅の作品「シンフォニックダンス」として見事に表現される。

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“シンフォニックダンス” , 2022,175×295cm, キャンバスにミクストメディア (pebeo japon mat pub, Artist marker)

2階の作品は「ポストバロック」をテーマとして、古典音楽から自由な形式へと移り行く時代に誕生したロマン派音楽を奏でる。ヘビースモーカーで知られるバーンスタインの煙たい空気を再現すべく、渋田に画材提供するフランスの絵の具メーカー「Pebeo Japon」のミクストメディアシリーズ絵の具を駆使。作品で描かれる「灰色」は、その色数の多さから時間をかけて作家自らが様々な実践を試みた時間の記録でもある。古くから試みられる「音楽の可視化」が、多角的な情報収集、色彩表現の追求、即興的な技法の着地点に鑑賞者が重なり、渋田ならではの可視化に繋がる。音が描き、筆が奏でる空間を楽しめる。

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“Schumann Piano Concerto”, 2022, B2 51×72cm, アクリル、ガッシュ 紙(パネルマウント)

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“子守唄” 2022,41×32cm, キャンバスにミクストメディア (pebeo japon Vitrail, outliner, mat pub)

渋田 薫|Kaoru Shibuta

1980年北海道生まれ。2000年にPan Make-up School、2003年にKanebo Make-up Institute 卒業。北海道の大自然でのびのびと育つ。絵画作家でありながら、音に関心を抱き、音が色や形となって現れる様子を元に即興的かつ共感覚的に描く。これまでにバルセロナ芸術文化センター Espronceda、サンタモニカ美術館、ロシア国立現代アートセンター NCCA、など世界各地のアーティストインレジデンスで制作発表を行う。主な受賞歴に「14th Arte Laguna Prize 特別賞」(Arsenal, ヴェネツィア)、EX-TEMPORE PTUJ 2021 審査員特別賞(PTUJ, スロベニア)、「第13回紙のアートフェスティバル・大賞」(ふじ・紙のアートミュージアム, 静岡)、「第6回 KOKKA Inspiration KOKKA 賞」など多数。

「Lenny's」開催概要

期間2022年11月2日から11月16日まで
時間12:00 ~ 18:00
作家渋田薫
会場between the arts gallery