未来型都市の新空間、住居と商業、公共スペースが一体化した「Starry Street 武侯(ウーホウ) 」が建築
中国四川省成都市にある武侯に、CLOUアーキテクツがデザインを手がけた複合施設「Starry Street Wuhou(武侯)」が完成し、2020年の暮れにオープンした。当施設には、住居と商業及び公共スペースが含まれており、それぞれが地域活動に溶け込めるようデザインされている。
Starry Streetは、成都市内の南東に位置する武侯区の開発地域にあり、主要道路にほど近く、住宅地と商業地や工業団地を繋ぐ新しい地下鉄路線が複数走っている。CLOUアーキテクツの目標は、ここに、「住居」「商業」「公共」の全てが揃った、「三位一体」の空間を創り上げることだった。
3機能の3層構造
CLOUDアーキテクツは、これら3つの機能を3層に、織り交ぜるように配置した。運用効率を最大限に活用できるよう、商業空間は1、2階に設置。活気にあふれた空間が形成されている。上階は住居エリアになっており、道に面して窓が設置され、開けた眺望が楽しめる。
当プロジェクトは、商業、住居、そしてソーホー・アパートメントなど複数の要素で構成されている。そのため、高層ビルに囲まれた商業エリアの暗がりの問題、商業空間と住居空間が共存することで起こりうる騒音や光害の問題、密集する6棟もの建築物の地域への影響など、クリアする問題が山積みだった。最終的には、自己循環型の空間システムを備え、地域と共に発展していけるデザインが解決策となった。
建物の南と北の端には、ソーホーアパートメント、屋外バスケットボールコート、都市農園、ポップアップストア、そして屋外の階段を設置。多層階に及んで配置された公共スペースは、地域住民に健康なライフスタイルを提供し、自然と触れ合いながら社会的交流を楽しめる設計となっている。
未来型都市にむけて
北側の道路に面した入口から屋根のついた階段を上ると、開けた広場へと繋がっている。CLOUアーキテクツは、両脇の建物を張り出させて雨避けの屋根を屋外階段に設ける斬新な発想で、空間の概念を覆した。住居棟に囲まれた中庭の垂直に開けた空間によって、地域と都市生活が連動する。スーパーマーケットやレストランが入るプラザは、丸くくりぬかれたアトリウムを囲うように配置され、2階にはシネマやステージ、ポップアップイベントスペースを設置。ビルの谷間のくぼんだ空間を構築している。
南の棟は、ジム、屋外バスケットボールコート、ヨガスタジオ、都市農園など、運動を通して、交流を生んだり、自己改善に励んだりできる施設が完備されている。北の棟に繋がる部分は、IMAXシネマやカラオケバー、レストラン、イベントスペースなどが占めている。
CLOUアーキテクツについて
CLOUアーキテクツは、建築、インテリア、そしてランドスケープの分野で受賞歴のある専門家で構成された、国際的なデザインスタジオ。地域の中心的な公共スペースを取り巻く、大規模なプロジェクトを手掛けている。中国のみならず世界中から集まった65名を超える才能溢れるデザイナーが、オーダーメイドの発注に独創的な発想を持って応えている。手掛ける分野は、ショッピングモールや住居、ホテル、学校など、多岐にわたる。コミュニティを構成する人々、環境、そしてその構築に携わる全ての人に、ポジティブな影響を与えるようなプロジェクトの実現を目指している。