ブルータリズム建築の象徴を再生

ロンドン、コヴェント・ガーデンのグレードII指定建築「スペース・ハウス」が、1960年代の象徴的建築を継承しながら、持続可能で柔軟なワークプレイスへと生まれ変わった。

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-1

Photo credit: Gareth Gardner

Squire & Partnersによる本計画は、Seaforth LandおよびQuadRealの委託により、延床約255,000平方フィートの最新型オフィス空間に加え、地上階のリテールと公共空間の質的向上を実現し、戦後ロンドンを象徴する建築を現代に適応させている。

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-7

Photo credit: Gareth Gardner

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-5

Photo credit: Gareth Gardner

スペース・ハウスは、1960年代にRichard Seifert and Partnersによって設計され、Y字型柱の上に載るプレキャストの十字形ファサードをもつ円筒形タワーと、直方体の低層棟、そしてそれらをつなぐスカイブリッジから構成される。1968年の竣工以降、長年にわたり民間航空庁(CAA)の本部として使用されてきたが、複数回の改修を経て、原設計の意図が見えにくくなっていた。今回の計画では、後年の介入を丁寧に取り除き、オリジナルの構造と造形を際立たせつつ、現代的な働き方に対応する新たな要素を加えている。

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-2

Photo credit: Gareth Gardner

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-4

Photo credit: Gareth Gardner

タワーには2層のオフィスフロアが増築され、全17階建てとなった。屋上設備を整理することで、セットバックした端正な最上階を回復し、3,600平方フィートのルーフテラスを新設している。低層棟には1層分の増築が行われ、新設された8階には会議室やバーを備えたテナント共用のクラブハウスと、5,000平方フィートのテラスが設けられた。

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-8

Photo credit: Gareth Gardner

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-9

Photo credit: Gareth Gardner

内部空間は、開放性と自然光を重視した構成となっている。タワーには、柱のない円形平面の10,000平方フィートのフロアプレートが設けられ、上層階からはロンドン市内を一望できる。一方、低層棟には8,000平方フィートのワークスペースが8層にわたって配置される。スカイブリッジによって両棟は連続したオフィス空間として機能し、ガーデンテラスへもアクセスできる。ロフトスタイルの内装、長い視線の抜け、堅牢な素材使いが、協働を促すフラットで民主的な職場環境を支えている。

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-6

Photo credit: Gareth Gardner

adf-web-magazine-space-house-squire-partners-3

Photo credit: Gareth Gardner

本計画では、自動車中心に設計されていた既存インフラの再解釈も行われた。かつての車両用ランプや駐車場は、自転車利用に特化した動線と設備へと転換され、600台分の駐輪スペースや充実したエンド・オブ・ジャーニー施設が整備されている。また、地下には吹き抜けを伴うフレキシブルなイベントスペースが新たに設けられた。

環境性能も大きく向上しており、スペース・ハウスは英国最大規模のグレードII指定建築として、BREEAM「Outstanding」を取得した。空気熱源ヒートポンプや高性能な設備システム、外皮性能の改善により、持続可能性と快適性を両立している。さらに、旧ガソリンスタンドのキャノピーをカフェへと転用するなど、公共空間の再編によって街との関係性も強化された。

この再生プロジェクトは、ブルータリズム建築の遺産を尊重しながら、未来の働き方に応える建築へと進化させた好例であり、歴史的建築の新たな可能性を示している。

Squire & Partners

Squire & Partnersは、40年以上にわたる実績をもつ建築・デザイン事務所であり、建築が置かれる土地の歴史や文化に深く根ざしたデザインアプローチによって、国際的な評価を確立してきた。大規模な都市マスタープランから、オーダーメイドの小規模な内装設計に至るまで、伝統的な技法と先進的なテクノロジーの双方を取り入れ、緻密に作り込まれた建築を実現している。

同事務所の受賞歴のあるポートフォリオには、世界有数のデベロッパーをクライアントとする新築および改修のオフィス、住宅、ホテル、リテールをはじめ、マスタープラン、教育施設、公共建築など、幅広い分野のプロジェクトが含まれている。