GEZAアーキテクチャーによる空間・環境・時間を融合したデザイン
GEZAアーキテクチャーは、建築家Stefano GriとPiero Zucchiによってイタリアのウディネに設立された学際的な建築デザイン事務所。傑出したデザインソリューションと戦略的思考によるプロジェクトを数多く生み出しており、国際的に高く評価されている。
アイデア、美しさ、そして機能性の融合
GEZAのプロジェクトは、環境(光やランドスケープ)と時間(季節の移り変わり)の中で空間(建築)をデザインしている。新しいアイデンティティを構築しながら建築に新たな意味を与え、環境と素材、ディテールに細心の注意を払い、人を中心としたソリューションを提供している。もちろん、詩的な側面も忘れていない。
GEZAは、生産フローや仕事のダイナミズム、効率性のゴール、ロケーションの特徴などのワークプレイスの可変性と制約を逆手にとり、ランドスケープと個々のウェルビーイングが核となる新たな仕事環境を構築する。
建築と自然の関係
工場や社屋などに代表されるインダストリアル建築の建設は、「建築と自然」の関係を再考する絶好の機会でもある。GEZAは、エンジニアリングと経済性の両方の側面からアプローチした調査をもとに様々なロジックを抽出し、組み合わせることでデザインソリューションに繋げている。タイムレスな建築とワークプレイスのサステナビリティを実現するのは、ランドスケープに沿って体現された特徴、つまりプロジェクトそのものなのである。
領域と空間を読み解く
GEZAは、自然なものと人工的なもの、前景と背景、仕事のスペースと屋外のスペースなど様々な関係性を同時に考慮しながらプロジェクトの工程に取組んでいる。そして、各プロジェクトは、それぞれのランドスケープと一体になりながらも、存在感が際立つようなものに仕上がっている。
多様な視点と焦点
建築とは、建物の全体像から細部に至るまで、あらゆるスケールで熟慮され、バランスが保たれていなければいけない。GEZAがプロジェクトに取り組む際には、外から内へと視点を変えながら、または大きなスケールから個別の要素に至るまでレンズの焦点を変化させており、それが信頼のおけるプロジェクトの質に繋がっている。そして、建築によって物理的な空間が構築されるだけでなく、空間と日常に新しいアイデンティティが付加されるのである。
デザインに求められる厳格さ
インダストリアル建築とは、概して、そのスケールによるランドスケープへの物理的インパクトが大きい。付随するインフラも含め、耐久性に優れた無理のない環境への融合が、ひときわ厳格に求められるタイプの建築物である。垂直と水平、反復と律動、光と影、直線と曲線、鮮やかな色彩とくすんだ色味、白と黒。これらのシンプルな定義が、領域内での重要な関係性を構築していくのである。
ナチュラルな素材と色使い
自然な色味や素材、そして単色使いをすることにより、他の要素の自由度が広がるという利点がある。平面や奥行き、勾配、触感、光の作用など、これらの探究の幅が広がり、新たな発見が促されるのである。これは、GEZAのプロジェクトで多く見られるアプローチである。一見どぎついと思われがちな白と黒は、意外にも自然の要素にうまく調和する。実は、ランドスケープと緑の塗料を強調しながら、その空間で動く鮮やかな色の人々を自然に溶け込ませる役割も果たしている。
ヒト中心のデザインとサステナビリティ
GEZAのサステナビリティのコンセプトは、個に焦点を当て、詩的なアプローチを行う、いわば環境ベストプラクティスを超越したところにある。パンデミックを経験して、産業界も新たな局面を迎えている。この状況では、衛生面(物理的/精神的)、スマートワーク、そして企業の求めるもの、これらのバランスをどう取るかに重きが置かれる。そしてその中でも、人々の「ウェルビーイング」が必然的に最重要項目となった。それはインダストリアル建築においても例外ではない。柔軟性のあるレイアウト、屋内外のグリーンエリア、適度な自然光、そして居心地の良い環境など、ヒト中心の仕事空間が求められている。
GEZAにとって、サステナビリティとはクオリティオブライフと切り離せない関係にあるものだ。人々が一日の大半を過ごす仕事場においては特にその意味合いが強くなる。快適な環境が整っているか否かは、ベストなパフォーマンスを引き出すパラメーターであるのは間違いない。デザイン、照明、グリーン、そして交流エリア。これら全てが精神的なウェルビーイングを向上させるうえで欠かせない要素なのである。
建築を超えて
すばらしい建築とは、異なるロジック、クライアントの要求、様々な専門技術、制約、タイミング、課題、そしてデザインが融合した複雑なプロセスの結果である。更にそこには、継続的な厳しいコントロールが求められる。プロジェクトの最終形を鮮明にイメージできている唯一の人物である建築家が、細部まで把握して専門家をコーディネートし、あらゆるレベルでコンプライアンスを遵守し、スタートから完成まで一貫してプロジェクトの中枢を担うのである。このようにGEZAは、アイデアと審美性、そして機能性が調和したプロジェクトを完成させている。
GEZAアーキテクチャーについて
GEZAアーキテクチャーは、建築家Stefano GriとPiero Zucchiによって1999年、イタリアのウディネに設立された建築デザイン事務所。審美性と機能性、そしてアイデアの融合にフォーカスし、好奇心と情熱を持って様々なプロジェクトに取り組んでいる。彼らの目的は、季節の移ろいの中に存在する空間(建築)を内包する環境(光とランドスケープ)をデザインすることである。ランドスケープに調和したインダストリアル建築を得意としており、職場環境の新しい捉え方を提起している。
これまで、建築プロジェクト、都市計画、インテリアデザイン、プロダクトデザインなど多岐にわたる分野のプロジェクトを手掛け、コンテクストとマテリアリティ、そしてヒト中心を基調とした詩的なアプローチで独自のスタイルを確立している。
代表的なプロジェクトに、フルラ本社屋(イタリア、2021年)、プラティック社屋(イタリア、2018)、Faberシリンダー本社屋(イタリア、2013年)、ボッシュ/Freud社屋(2018年)の他、現在建設中のシルクFAWのEV工場、カプア1880本社屋、 Pratic 3.0社屋などがある。これ以外にも、住居プロジェクトや、ニュークラフト・エギシビション(ミラノ・トリエンナーレ、2016年)やカーサ・デラ・ミュージカ(フリウーリ・カーニバル、2010年)などの会場デザインも手掛けている。
これまでに多くの国際的な賞を受賞してきたGEZAだが、直近ではアーキタイザーが主催する世界最大級の建築アワード「第10回 A+Awards」において、フルラ本社のプロジェクトがポピュラー賞を受賞している。