探索的な学習のためのソーシャル・プレイスケープを特徴とした新デザイン

建築効率化研究会が設計したニューヨーク・スモールワールドプロジェクトは、マンハッタン区チェルシーにあるワールド・スクールの2階を改装し、既存のデイケアセンターを拡張するプロジェクトである。新しく生まれ変わったスモールワールドの中心にはムーブメントルームがあり、発見、創造、探索を促す起伏のあるプレイスケープになっている。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-4

Photo credit: © Inessa Binenbaum

スモールワールドの空間をより開放的にするために、建築効率化研究所はフロアレイアウトを再構成した。以前はオフィスとして使われていた中央のエリアはプレイスケープに生まれ変わり、4つの教室は新しい照明、造作、家具を備え、より快適で機能的な学習環境に改修された。教室はフローリングなどの自然素材を取り入れたデザインで、壁面には子どもたちの作品を展示できるようにタッカブルサーフェスを設置してインタラクティブな学習空間を演出している。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-12

Photo credit: © Inessa Binenbaum

ムーブメントルームをフロアの中央に戦略的に配置することですべての教室からアクセスしやすくなり、生徒参加型の舞台を設定している。建築効率化研究所の創設者であるアイバールス・アッチは、共感のためのデザインは私たちのすべての学校プロジェクトのキーコンセプトであり、ニューヨーク・スモールワールドでは遊びを通して社会的な学習をするための楽しい環境をデザインしていると語っている。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-9

Photo credit: © Inessa Binenbaum

カスタムインテリアのプレイスケープは、子どもたちの身体感覚が十分に発揮される環境として設計されており、走ったり、ジャンプしたりと全身を使って筋肉を鍛えることができる。運動能力の発達が著しい幼児期に「どこまで走れるか」「どこまで高く登れるか」「どこまで跳べるか」という身体的な限界を試すことができるように設計されている。ムーブメントルームは保護的でありながら遊びを通して危険を冒し、発見し、創造性を発揮することを促している。布張りの家具はコーナーや柱に沿うようにカーブを描きながらヌックとニッチを形成し、動きと実験をサポートしている。子どもたちは多くのピースを並べ替えて、自分たちの環境を形作ることができ、積極的な参加と直接的な関わりを感じることができる。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-5

Photo credit: © Inessa Binenbaum

このプレイスケープの幾何学的形状は凹面から凸面へとシームレスに変化する起伏に富んでおり、子どもたちがムーブメントルーム内やその周辺で遊ぶ際に流動的な動きや範囲を持つことができるようになっている。また卵型のニッチを形成するようななだらかなカーブを描いている箇所もあり、このループ状のスペースはゆっくりとした動きを促すことで多様な体験を生み出す。このスペースは子どもたちが休んだり隠れたりできる空間も提供している。アッシは「プレイスケープの流動的な幾何学的形態は、子どもたちが建築物と相互作用することによってさまざまな動きを身につけることを促します」と説明している。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-8

Photo credit: © Inessa Binenbaum

adf-web-magazine-designing-for- empathy-3

Photo credit: © Inessa Binenbaum

スモールワールドのプレイスケープでは社会的な遊びを通して学ぶだけでなく、より思索的で個人的な発見を通して学ぶこともできる。プレイスケープのエレメントを囲むパッドやフォームを包む柔らかい布は、安全な環境を作るだけでなく心地よい触感の表面を提供している。ムーブメントルームにブルーを採用することで空間に奥行きが生まれ、視覚的な境界線も広がった。遊具の多くは屋外設置に適しており、一般的な遊具用プラスチックを使用しているため、条例により屋内では使用できない。しかし建築効率化研究会のカスタムシステムは、完全に難燃性の合板や耐衝撃性のパッド、メンテナンスが容易な高級ファブリックなど法律に準拠した素材を使用し、特に室内遊び用に設計されている。遊具の設計でもうひとつ重要視したのは安全性であり、すべての表面には最低でも1/2インチのパッド層がある。移動エリアに面する垂直面はすべて壁のパッドとして業界標準である最低2インチの厚さで覆われている。さらに子どもたちが遊具内で登れる高さをはるかに超える5フィートの高さから落下させるテストも実施された。

adf-web-magazine-designing-for- empathy-17

Photo credit: © Inessa Binenbaum

ニューヨーク・スモールワールドは建築効率化研究会がアベニューズと長年にわたって行ってきた仕事の一部で、世界各地の教育施設の設計、研究への貢献、未来の学習環境開発のための共同作業を行っている。建築効率化研究会はニューヨーク、シリコンバレー、マイアミ、深圳、サンパウロにおいてキャンパスのマスタープランから家具のデザインまで幅広い業務を行っている。

建築効率化研究会について

「効率は美しい」はより持続可能、より包括的、より公平な未来を構築するための研究主導型のデザイン哲学を支える理念。同社はあらゆる新しい課題に第一原理的な思考を適用し、概念の明確化とアルゴリズムツールの使用や建築性能モデリングなどの分析プロセスを組み合わせて、建築環境の効率化に向けて道を切り開いている。また、スタッフの多くが高等教育機関の教員であり、教育分野への情熱が結集している。過去4年間だけでもアジア、北米、南米のキャンパスで、270万平方フィートのマスタープランを作成した。


pwa