ジューヌ・ヴェルヌ代表作『神秘の島』の魔法

FOR.デザインプランニングがジュール・ヴェルヌにまつわるコレクションが集まるミュージアムを手がけた。クライアントはSFの父ともいわれたフランス人作家ジューヌ・ヴェルヌの熱狂的なファンで、オークションなどで300点以上の美術品を発掘し、そのコレクションを展示できるミュージアムを開くことを熱望していた。

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Washbasins space
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Reflection of washbasins space
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その夢を現実のものとするまたとない機会が訪れた。その情熱を地域の人々や観光客と分かち合うことができると思われた不動産が現れ、ミュージアムの周囲にレストラン・ラウンジとブティックを併設したエコシステム全体を構想。こうして、有名なネモ船長の悲劇的な最期を描いたジュール・ヴェルヌの小説にちなんで名付けられた「イル・ミステリユーズ(神秘の島)」が誕生した。

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Display detail
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Printing on curtain wall
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この「イル・ミステリユーズ」は、「青い家」というニックネームを持つ20世紀の建物に新しいガラス張りの増築部分を加えたもので、家のドア、窓、屋根は完全に改装され、石造りの壁と暖炉は保存され、元の状態に復元された。カーテンウォールの増築部分にはミニ博物館とブティックがあり、『神秘の島』でのネモ船長の痛ましい死を描いた特注の大きなフレスコ画が印象的。レストランの入り口も同様に、バックライトで照らされた島の巨大な地図が目を引き、出窓と舷窓には海の風景や海の生き物が描かれている。

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店内は19世紀のシガーラウンジの雰囲気に包まれ、ジュール・ヴェルヌの初版本、美術品、船の模型などがまるで珍品棚のように展示されている。籐の家具、格天井の壁、古い食器棚を思わせるキャビネットのディテールが、さらに当時のエッセンスを呼び起こす。

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Circular staircase detail
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Circular staircase
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『海底二万里』の旅は青銅で作られ光線を放つ大きな円形のバーと階段のまわりで続き、水中の渦の中に潜っていく潜水艦を彷彿とさせるイメージを演出している。天井には、ジュール・ヴェルヌの星座であるみずがめ座を再現したきらめく光のポイントがある。パンチングメタルのメッシュは、共有エリアとダイニングルームのベンチを隔てる壁として再利用され、ブロンズのアーチがレストランエリアへの荘厳エントランスに配置されている。

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Bathrooms
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Outdoor terrace
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円形階段の下には、深淵の漆黒に包まれたバスルームがある。このプロジェクトのために特注でデザインされた壁紙は、濁った背景にドクロ、陰気な表情の魚、ウナギ、金色のサンゴが描かれている。小さなスポットライトがランタンフィッシュのように密やかに光を拡散している。洗面台の大きな鏡のドームの下で、訪問者はまるで虫眼鏡か望遠鏡で観察されているような雰囲気が醸し出されている。

FOR.デザインプランニング

企業、商業施設、集合住宅のプロジェクトに特化したインテリア・デザイン事務所。1969年の設立以来、カナダ国内外で2,500万平方フィート以上のインテリアのデザインを手がけている。