モエ・ヘネシー・グループの価値観を建築で具現化した最新のワークスペース

熱意、好奇心、喜び。この3つのキーワードをもとに、バルバリート・バンセルがパリの中心地に1万m²を超える床面積を有すモエ・ヘネシー・グループの新しいワークスペースをデザインした。卓越したワインとスピリッツを提供する同グループのフランス本社はグランド・エピスリー・ド・パリの上、ボン・マルシェの上階にある。

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Photo credit: Alessandra Chemollo

このプロジェクトには、モエ・ヘネシーの価値観を反映し、この地のアールデコの遺産を高めるというイメージの面と、持続可能なプロジェクトを設計するというと用途の両面で非常に高いハードルがあった。働き方が深く問われ、遠隔勤務が普及する中で、現代的なワークスペースを提示することで、会社の文化の変革を開始しなければならなかった。社長であるフィリップ・シャウスのビジョンに基づき、バルバリート・バンセルは、その場所の潜在能力や隠れた良さを引き出すため、「聞く」ことを基本とした手法をとり、モエ・ヘネシーのスタッフにとって有益な、ユニークで卓越したオーダーメイドの空間デザインを目指した。常識、高基準、そして質は、サステナブル建築の基礎となるものだ。

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Photo credit: Alessandra Chemollo

デジタル化が進み、”拡張されたアルゴリズム”社会においても、オフィスでは感情や喜び、幸福感、そして新たな仲間との関係を伝えることができる。それは、あらゆるビジネスのパフォーマンスと成功に欠かせない要素だ。生産的な仕事」のための空間は、「生活の場」「共感の場」となり、個人の成長、自信、共有を促進する。建築空間のクオリティは一見視覚的でありながら、目に見えない領域に触れ、個人の感情に関わり、目先の快適さだけではない幸福感をもたらしている。

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Photo credit: slowphoto.studio

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感性を刺激し、バーチャルスペースの拡大やデジタル技術の存在を相殺する、それがワークスペースに求められる新しい条件だった。自然との絆を取り戻したいという願いは、バーチャルな世界とのつながりを断ちたいという衝動と共鳴している。「美」への欲求は、もはや余分なものではなく、初歩的な欲求や本質的な品質となっている。

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Photo credit: Alessandra Chemollo

ワークスペースに関する最新の考え方を取り入れ、モエ・ヘネシー・グループの価値観を建築で具現化することがこのプロジェクトの第一歩だった。卓越性、ノウハウ、クラフトマンシップ、細部へのこだわり、素材の信頼性、誇張しない気品、祝祭精神、生活の芸術、など、モエ・ヘネシーの価値観がインスピレーションの源となっている。

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Photo credit: Alessandra Chemollo

このプロジェクトでは「自然光を素材」とし、パリの都市景観や植栽を施した中央のパティオへの視線を生み出している。この組み合わせにより、明るく、防音性が高く、緑にあふれた快適なワークプレイスを実現している。また共有スペースと個人スペースのバランス、サーバント・スペースとサービス・スペースの効率的な構成、安心感と落ち着きのある見やすいプランなど、さまざまな工夫が凝らされている。ファサードのガラス張りのスチールフレーム、取り外し可能なパーティション、家具のデザイン、フレキシブルフロア、寄木細工、カーペット、照明、シャンデリア、サイン、図像など、これらの価値観に沿って、バルバリートバンセルは包括的かつ総合的なデザインを行い、テーラーメイドでまとまりのある、独自の空間アンサンブルを作り上げた。

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バルバリトバンセルアーキテクツ

イヴァナ・バルバリットとベンジャミン・バンセルが10年以上の経験を経て設立。さまざまなライフパスと補完的な洞察をもち、プロジェクトごとに、デザイン、チームワーク、クライアントや職人とのミーティング、新技術や素材の実験など、建築の楽しさを更新したいという共通の願望によって団結している。