ウエブブラウザで動作するシステム「Media Façade simulator」でデジタルサイネージのシミュレーション
リアルとバーチャルの体験をつなぐSHIFT LINKのシステムを用いた新サービス「Media Façade simulator」が発表された。クリエイティブスタジオのaircordとThe Shiftが共同で開発した本システムは、ブラウザ上でデジタルサイネージのシミュレーションを可能にするものであり、都市のオープンデータを活用した街をバーチャル上に構築し、映像コンテンツの調整やシミュレーションを自由に行う事ができる。
Media Façade simulator について
デジタルサイネージのシミュレーションをする為のウエブブラウザで動作するシステム「Media Façade simulator」。このシミュレーターは、リアルとバーチャルの体験をつなぐ *SHIFT LINK のシステムを用いた新サービスである。バーチャル上の渋谷の建物に自由に映像コンテンツを放映し、ユーザーは任意の視点で映像コンテンツを閲覧し、映像コンテンツの変更や修正を行うことができる。また、現地で録音した環境音を導入し、見る位置によって音の聞こえ方が変わるサウンドシステムにより、シミュレーターの体験をより実空間と近づけるような演出も可能。ユーザーは、ChromeやFirefox、Safariなどの一般的なWebブラウザで使用可能となっており、アプリケーションやプラグイン等のインストールの必要がなく、Web標準に準拠した一般的なWebブラウザで体験することができる。
*SHIFT LINKは、aircordとThe Shiftとの共同事業により、リアルとバーチャルの両環境で、テクノロジーとデザインによって”体験”をする人々をつなぐためのハブシステム。リアルとバーチャル空間内にインターフェースを構築し、あらゆる機器やデバイス、それを扱う人やサービスをつないでいく。
Media Façade simulator の可能性と応用
「Media Façade simulator」の活用により、リアルな空間での開発中の映像コンテンツの事前検証において制約となる、”時間”、”場所”、”人”など様々な制約から解放され、手元の端末やPC等の機器から簡単にシミュレーションを行うことが可能となる。クリエイティブな仕事の効率を上げるだけでなく、デジタルサイネージ映像の制作において課題となる、実際の場所において投影されたイメージの事前共有や相互理解を、このシミュレーターを活用する事によって格段に向上させていく。更に屋外広告のみならず、美術館など展示施設やイベント会場等、様々な環境において、リアル空間の映像展示/放映をバーチャル空間上で展開し、実際に現地に訪れる事が難しいユーザーに対しての体験の場を提供する事も可能となる。
3Dモデルデータを活用したシミュレーション
Media Façade simulator は、多くの3D都市データフォーマットに対応しており、現在、都市モデルのオープンデータ”*PLATEAU”を活用し開発を行なっている。
*PLATEAUは、国土交通省が進める 3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化のリーディングプロジェクト。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、そのユースケースを創出。さらにこれをオープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市のデータを引き出し、活用できるようになる。
今後の展開
将来的には、SHIFT LINKの「リアルとバーチャルどちらの環境でも、テクノロジーとデザインによってそれを体験する人々をつなげていく」というコンセプトをさらに押し進め、ウエブブラウザ上でシミュレーションした内容と、実際のリアルな放映環境とが相互に反映され、同期するシステムを構築していく予定。
具体例:
- サイネージに上映する映像コンテンツ以外にも街灯やLED、ムービングライト等の演出照明をMedia Façade simulatorに反映させることによる都市景観の総合的な表現。
- サイネージで実際に上映中のコンテンツをリアルタイムでMedia Façade simulatorに反映させるデジタルツインとしての応用。
- WebXRへの対応で、HMDやARグラスデバイスで立体的な景観再現への応用。
- 街中に配置されたIoT機器やセンサー情報の可視化や、リモートコントロールツールとしての応用。