ギリシャ・アテネに建つ空中の住まい

Block722が設計した住宅プロジェクト「Lumen residence」が、2025年10月にギリシャ・アテネのパパグー地区に完成した。本プロジェクトはBlock722の創設者である建築家ソティリス・ツェルガスとインテリアデザイナーのカティア・マルガリトグルが自らの住まいとして手がけたもので、スタジオの理念「オーガニック・ラグジュアリー」を体現する空間となっている。

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Dining room
Table: Nitsolas
Dining Chairs: Heart chairs by Hans J Wegner bought at an auction
Pendant light: Trizo21 (manufacturer), Bombyx (supplier)
Couch (custom-made): Nikos Haritos Fabric: Kvadrat
Wood and glass doors/partitions: Christos Lazarou

敷地は南向きの角地で、緑豊かな林に隣接する静かな住宅街に位置する。全5戸からなる集合住宅の最上階2フロアを専有し、下階にはオープンプランのリビングと2つの寝室、上階にはプライベートテラスとプール、シティビューを備えた主寝室が広がる。空間構成は家族のライフスタイルに合わせて緻密に設計されており、すべての造作家具や可動家具、照明、アート配置に至るまでがカスタムメイド。職人による手仕事を随所に取り入れ、時間とともに味わいを増す素材とディテールが、住まいに深みを与えている。

建築全体は20世紀のインターナショナル・スタイルとモダニズムの要素を踏襲しながらも、カーブや木質の意匠、地中海植物によって柔らかく造形されている。Block722が掲げる「人と自然の有機的な関係性」を軸に、外部とのつながりを意識した開口部や、太陽の動きと連動する自然光の取り込みが設計の核となっており、素材はマーブル、木材、テラコッタ、トラバーチンロッソ、セラミックタイルなど、触覚的な質感をもつ自然素材を選定。経年変化を前提とした仕上げが空間に豊かさと静けさをもたらす。

この住まいは都市生活における一つのモデルケースであり、同時に「自分たちのための建築」というBlock722の設計哲学を象徴するプロジェクトである。アテネという都市と調和しながら、時間、自然、人間の営みとの有機的なつながりを深く結びつけている。

Block722

Block722はギリシャ・アテネを拠点とする建築・インテリアデザインスタジオ。建築家ソティリス・ツェルガスとインテリアデザイナーのカティア・マルガリトグルが共同で設立した同スタジオは、クラフトマンシップを重視した「オーガニック・ラグジュアリー」の思想を軸に、建築と自然、都市と人間の関係性を再構築するデザインを提案している。住宅からホスピタリティ、ランドスケープ、照明デザインまで一貫して手がけ、ギリシャ国内外で注目を集める存在となっている。