ロサンゼルスの象徴的建築「シーツ=ゴールドスタイン邸」に新たなフェーズをもたらす

建築事務所Conner + Perry Architects は、ジョン・ロートナーの設計による名作「シーツ=ゴールドスタイン邸」における最新の増築プロジェクトを発表した。この度完成した新たなアネックス「クラブ・ジェームス」は、建築家ジョン・ロートナーと現オーナーであるジェームス・ゴールドスタインが50年以上にわたり構想を温めてきたもので、これまでに3世代にわたる建築チームが関わっている。複雑で長期的な取り組みの末に完成したこの新施設は、ゴールドスタインの理想を体現したエンターテインメント空間となっている。

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Club James: The newly completed accessory complex, Club James, emerges from the lush jungle landscape, its crystalline geometries playing against the surrounding wild flora and bright blue southern California skies. The infinity tennis court roof sits atop the canted glass enclosure of the office, which floats effortlessly above the lower terrace and pool.
Photo credit: Joe Fletcher Photography

建築的遺産と新時代の融合

シーツ=ゴールドスタイン邸はハリウッドサインに匹敵するほどロサンゼルスの象徴的な建築物であり、多くの映画やテレビ番組、ファッション、音楽ビデオに登場し、建築ファンやデザイン界でも広く知られている。1962年にジョン・ロートナーとシーツ家によって建設が始まり、その後、現オーナーのジェームス・ゴールドスタインが邸宅を購入した1970年代から新たな拡張や改修が行われてきた。2015年以降は Conner + Perry Architects がこのプロジェクトを引き継ぎ、これまでの設計をさらに発展させている。

最新のプロジェクト「Club James」

完成した「Club James」は既存の邸宅に隣接する場所に建設された。元々はジョン・ロートナーの設計に基づいたテニスコートを設置する計画が発端となり、土地の傾斜を活かした新しいエンターテインメントスペースとして進化した。この新設の空間にはVIPルーム、書斎、映画上映室、アウトドア用のテラス、キッチン、プール、スパなど、多彩な要素が含まれている。Conner + Perry Architects のデザインアプローチは、ロートナーが築いた建築言語を尊重しながらも現代のニーズに適応させる点にある。クリストファー・コナーは「このプロジェクトは、ロートナーが残した設計理念を進化させつつ、彼の遺産を守るためのバランスを取ることが求められました。私たちは、オリジナルの邸宅に宿るDNAを引き継ぎ、新しい空間が調和を保つよう工夫しています」と語っている。

建築的な遺産を未来へと引き継ぐ

Conner + Perry Architects は「シーツ=ゴールドスタイン邸」の新たな拡張だけでなく、オリジナルの建物の維持や修復、またジェームス・タレルの光のインスタレーション「アバブ・ホライズン」の管理も担当している。ロートナーの弟子であったダンカン・ニコルソンから受け継いだ「有機建築」の哲学に基づき、建物の美しさと機能性を調和させたデザインを追求している。

未来への贈り物

ジェームス・ゴールドスタインは、この邸宅を含む自身のコレクションすべてをロサンゼルス郡美術館(LACMA)に寄贈することを決定しており、建築やデザインの歴史を後世に伝え、未来のクリエイターたちのインスピレーション源とすることを望んでいる。

Conner + Perry Architects

2015年にクリストファー・コナーとジェームス・ペリーによって設立された建築事務所。両者はダンカン・ニコルソンの元で経験を積み、ジョン・ロートナーの有機建築哲学を学んだ。デザインは伝統的な建築の理念を現代のクライアントのニーズと市場に適応させながら、時間を超えた価値と機能性を持つ建築を目指している。