グラン・テアトル・ドゥ・ケベックの新しい外装が、その美しさとサステイナビリティを高く評価される
カナダのケベック州にある芸術文化の複合施設、グラン・テアトル・ドゥ・ケベックの復元プロジェクトが、4つの権威あるアワードを受賞した。2つは、ケベック建築家協会(Ordre des architects du Québec)より受賞した審査員最高賞とパブリックズチョイスアワード。残りは、SAB Magazineよりグリーン・ビルディング・アワードを、そしてカナダ王立建築家協会より革新的な建築としてアワードを受賞した。
ブルータリスト建築で知られるグラン・テアトル・ドゥ・ケベックは、1971年の開館当初から現在に至るまで、数多くの主要なイベントを開催してきた、ケベック市のカルチャーアイコンだった。老朽化が進んだ外壁と、当施設を象徴するジョーディー・ボネによる壁画の復旧作業を手掛けたのは、カナダの建築事務所、LemayとAtelier 21。
建物の多くの脆弱性を克服するため、学際的なチームによる、サステイナブルで革新的なソリューションが提案された。それが、今回高く評価された、ガラスの覆いだった。この透明なガラスのカーテンを、コンクリートの外壁の周りに張り巡らすことが、最もデリケートな是正措置だった。
ガラスの覆いは、ビクター・プルスが築いた元の建物と、その外壁に守られて鎮座するジョーディー・ボネによる壁画の延長として存在するよう、細心の注意を払って増築された。それでいて、独立し、時には無形の存在となるこの外壁は、周囲の景色が映り込むことで、都市へのインタフェースとなり、このケベック人による創造物に新しい息吹をもたらした。
強化ガラスの薄壁は、低い熱還流率と高い蓄熱効果を可能にし、省エネで経済的な外壁となる。室内の温度と湿度が一定に保たれることで、既存建築物への負担は減り、楽器の保管にも適した環境となる。あくまでも元の建造物の延長である今回の増築では、彫塑的な描線や審美性を活かすよう、それらと調和する構造を心掛けた。「コンクリートアンカーに直接アクセスできない脆弱な建物であること、そして公演開催中に並行して行わなければいけなかったことが、このプロジェクトをより難しいものにしました。よって、建物の構造的なアレンジは極力制限したのです。」と、Lemayの建築・デザインのリーダー、エリック・ペルティエは言う。
50年前に書かれた演劇「グラン・テアトル・ドゥ・ケベック」を、プルスの創造物に敬意を表しながら包み込み、新世代と共鳴する新しい物語を付加して再生させること、これが私たちの使命でした。
Lemay 建築・デザインリーダー、エリック・ペルティエ
Lemayについて
Lemayは、ランドスケープ及び建築デザインを手がける、カナダを代表する建築デザイン事務所。建築家、デザイナー、チェンジメーカーや各分野のリーダーから成る情熱的で感受性の高いチームを擁し、顧客に寄り添うことで、その願望を形にするデザインを提供する。
Atelier 21について
Atelier 21は、ケベックとオンタリオに拠点を置く建築設計事務所。Christian Bernard、Patrice LaRochelle、Carlo Peiroloの3人の建築家によって設立。どの時代にも通用するクオリティーのデザインコンセプトを求め、数々の有名な大型施設や商業施設の計画・建築に携わっており、豊富なノウハウを有している。これまで手掛けたプロジェクトは、カナダ政府や地方行政、国会、ケベック市国民資本議会などをはじめとする公共機関の他に企業などのためのものなど、その数は2,000近くにのぼる。