建築、光、素材が食体験を広げる感覚的なダイニング
エステレオトミア・アーキテクツ(Estereotomia ARQ)が建築そのものを美食体験の中核に据えた、洗練されたダイニング空間「マサハウス(MasaHouse)」を完成させた。インダストリアルな素材と有機的な要素を意図的に融合させ、単に食事をする場にとどまらず、「体験するレストラン」としての存在感を放っている。
外観は、スチール製のメタルウォールプレートとシャープなラインを描く木製プランクによって構成され、現代的な感性を力強く主張する。抑制の効いたデザインの中に大胆さを内包し、内部で展開される緻密に構成された空間体験を予感させる佇まいとなっている。
一歩足を踏み入れると、スチール、木、光が幾層にも重なり合う空間が広がる。露出したスチールフレームは、構造的な明快さと視覚的なリズムを生み出し、時間帯によって変化する自然光を反射しながら、影と輝きの表情を刻々と変えていく。そのインダストリアルな骨格をやわらげるのが、床や家具、ディテールに多用された天然木であり、空間に温もりと触覚的な心地よさをもたらしている。
照明計画もまた、マサハウスの雰囲気を形づくる重要な要素。木製キャンバスに金箔、銀箔、銅箔のハートをあしらった特注照明「AYOTLI」は、光源であると同時に彫刻的な存在として空間に配置されている。これらの照明が、昼は活気あるダイニング、夜は親密で落ち着いた空間へと、レストランの表情を自然に切り替えていく。
こうした要素が一体となり、マサハウスは建築、光、素材が食体験を広げる感覚的な環境を創出している。そこには、料理を引き立てるためのデザインという枠を超え、視覚・触覚・空間体験と食が不可分に結びついた、エステレオトミア・アーキテクツの明確なビジョンが表現されている。
Estereotomia ARQ
Estereotomia ARQは、メキシコを拠点とする受賞歴を誇る建築・デザインスタジオ。明確なコンセプトを、精緻に作り込まれた空間やプロダクトへと昇華させることで知られている。厳密なテクトニクス(構築理論)、洗練された素材使い、そして現代的なデジタルワークフローを融合させ、建築、インテリア、特注エレメントを幅広く手がけている。
レストランや文化的介入空間から、オーダーメイドの家具や照明に至るまで、その仕事は精度と目的意識、そして長く持続する個性を備えたものづくりを特徴としている。

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