メキシコの再生可能なビジョン

第19回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展において、メキシコ館が2025年11月23日(日)まで、ヴェネツィアの歴史的なアルセナーレで、古代の農業の知恵と現代の生態系危機を対話させる刺激的なインスタレーションである「チナンパ・ヴェネタ(Chinampa Veneta)」を展示中。メキシコ文化省と国立美術・文学研究所が選定したこのプロジェクトは、建築、農業、生態学が共存する新たな可能性を提案している。

adf-web-magazine-mexico-pavilion-chinampa-veneta-1

Collage of the Chinampa Veneta, 2025, Collage over an image of
Teatro del Mondo from Aldo Rossi, © Chinampa Veneta

メキシコシティの南に位置するソチミルコで千年以上にわたり受け継がれてきたチナンパ・システムに根ざしたこのインスタレーションは、メソアメリカで最も持続可能で生態学的に健全な農業技術の一つを強調している。チナンパは堆積物、泥、植物の層を用いて浅い湖に人工的に作られた農業用島のことで、食料生産を促進するだけでなく豊かな生態学的な「隙間」を提供することで生物多様性を再生している。これら浮遊する庭園は、水質浄化、二酸化炭素の吸収、食料と酸素の生産、そして人間が自然のサイクルの一部としてではなく、その一部として存在する世界観を反映する生きているシステムとして機能している。

adf-web-magazine-mexico-pavilion-chinampa-veneta-3

Gran Tenochtitlan in 1519, Luis Covarrubias, Oil on canvas, 1964,
Museo Nacional de Antropología and Aerial view of the Venetian
lagoon, digital image, 365_visuals/Shutterstock.com, © Chinampa
Veneta

現代の、自然を支配しようとするアプローチとは対照的に、チナンパは共生とレジリエンスの象徴である。ソチミルコとヴェネツィア(どちらもユネスコ世界遺産)では、急速な都市化が生態系を脅かしているが、チナンパ・ヴェネタによりチナンパの哲学と構造をヴェネツィアの文脈に移植することで、水と土地と調和した生きている都市の未来について考察を促している。

adf-web-magazine-mexico-pavilion-chinampa-veneta-6

Arsenale, La Biennale di Venezia, 2025, © Matteo Losurdo

adf-web-magazine-mexico-pavilion-chinampa-veneta-7

Arsenale, La Biennale di Venezia, 2025, © Matteo Losurdo

このプロジェクトは複数のプロセスを通じて展開する。ヴェネツィアの会場内では成長の異なる段階にあるチナンパのシリーズが展示されているが、本展示の核心は、メソアメリカとヴェネトの農業伝統を融合させた「生きているチナンパ」。ここでは、トウモロコシ、豆、カボチャを特徴とする古代の「ミルパ」多品種栽培システムが、ブドウのつるが木と絡み合う地域特有の「ラ・ヴィテ・マリタータ」技術と共存している。このハイブリッドモデルは、単なる文化間の協力を超え、再生可能な手法が時間と地理を超えて適応可能であることを示している。

adf-web-magazine-mexico-pavilion-chinampa-veneta-2

Collage of the Chinampa Veneta, 2025, Collage over an image of
Teatro del Mondo from Aldo Rossi, © Chinampa Veneta

屋外では、ヴェネツィアのラグーンに浮かぶプロジェクトのもう一つの要素が、建築家、アルド・ロッシの象徴的な「テアトロ・デル・モンド」に敬意を表している。再解釈された「チナンパ・デル・モンド」は、建築と想像力、土地と水、メキシコとイタリアを象徴的に結びつけるもので、両都市が直面する清潔な水と持続可能な土地利用の政治的・生態学的課題を描き出している。

芸術と建築のビエンナーレの文脈に生きている農業実践を移植することで、「チナンパ・ヴェネタ」はデザインの従来の定義に挑戦している。自然のサイクルを統合し、先祖の知識を尊重し、土壌を社会的福祉の基盤と認識するパラダイム・シフトである。このインスタレーションは、観覧者に搾取的な開発から離れ、再生するのではなく消耗する建築実践へと移行するよう促している。

第19回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展

会期2025年5月10日~11月23日(日)
URLhttps://tinyurl.com/46hhcbhk