伝統とモダンが出会うとき
日本料理と居酒屋の雰囲気を味わえる空間を作りたいと考えていたシェフ、フレデリック・デュフォールとそのチームは、新しい料理プロジェクトの空間デザインをクレオ・カッチョ・デザイン・アーキテクツに依頼した。デザインチームは居酒屋の歴史に精通し、そのルーツと現代性を共存させるコンセプトのアプローチを、居酒屋の伝統文化と店の現代性という二項対立として選択し、コントラストを際立たせる一連のデザイン介入の基調となった。
新しい日本の居酒屋のコンセプト
コンセプトは、戦後の居酒屋が軒を連ねる路地裏のダークで生々しい側面から強くインスピレーションを受けたもの。柔らかさと硬さ、暖かさと冷たさ、初歩的なものと洗練されたものを対比させることで、チームが目指した没入感と感覚を生み出すデザインに仕上がった。このプロジェクトで行われた数々の照明演出は、目的の達成に大きく貢献をした。
同じ空間での多様な体験
この空間はすでに建築的な要素を含んでおり、それを利用して明確なセクションが存在するように計画された。照明やシーティングを工夫することで、広いオープンスペースの中にいくつもの空間遷移を作り出した。デザインの中心となるバーエリアは提灯のような構造が特徴的で、日本酒のプロトコルに敬意を表している。また、VIPエリアは鏡面仕上げの壁と天井に吊り下げられた複数の照明が無限に反射し、独特の視覚体験を提供することで差別化を図っている。洗面所にもこだわりがあり、それぞれ独自の内装とサウンドトラックが用意されている。
光の戯れで演出する空間
照明器具の色温度や光の演出は、路地裏の暗さを感じさせず、和やかな雰囲気に仕上げられている。店の中心にはランタンがあり、点灯すると形となり焦点となる。バーから発せられる暖かい光と、アルコーブ部分やネオンサインで照らされたレストランの正面で使われる冷たい色温度とが対照的である。
居酒屋の中心となる厨房とバー
空間を分割したのはオープンキッチンを見渡せるようにするためと、建築の中心であるバーに焦点を当てるためであり、厨房から見える景色、音、匂いは、伝統的な居酒屋で体験できる親密さを再現するために重要な要素であった。
語りかける壁
この空間を特徴づけるウォールアートは伝統的な居酒屋の特徴であり、酒造りの手順と歴史を象徴している。デザインチームは、伝統的な居酒屋でありながら伝統からインスピレーションを得た「橙」のストーリーを伝えたいと考えた。
クレオ・カッチョ・デザイン・アーキテクツについて
クレオ・カッチョ・デザイン・アーキテクツは、企業、商業施設、集合住宅のインテリアデザインに特化。さまざまな分野の専門家からなるチームで構成され、ユーザーの快適性を重視したアプローチ、実証的な革新性、照明デザインの専門知識によって、他社との差別化を図る。