第25回目を迎える節目
インターナショナル・ガーデン・フェスティバルが、2024年6月21日にレ・ジャーダン・ド・メティス レフォード・ガーデンで開幕する第25回フェスティバルで展示する新しい仮設庭園を創作するデザイナーの公募を開始した。応募締め切りは2023年11月20日(月)17:00(東部標準時)。
2024年のテーマは「可能性のエコロジー」
来年、インターナショナル・ガーデン・フェスティバルは25回目を迎える。これを受け、この節目にこれまでの道のりを振り返り未来に目を向けるきっかけと捉えての開催となる。ミレニアムの変わり目に第1回が開催された際の前提は。それ以来、どのような問題やテーマに取り組んできたのか。私たちの関心やイデオロギーはどのように進化してきたのか。そして、私たちは庭園にどのような未来を描いているのだろうか…。
インターナショナル・ガーデン・フェスティバルは2000年に創設されて以来、常に庭園芸術の探求と刷新に力を注いできた。第1回目の開催では自然と文化の弁証法を前面に押し出した8つの独創的な作品が展示された。このフェスティバルは、現代庭園のあり方やその理由を今も考察しているが、扱う概念や採用する視点は変化している。この25年間で、さまざまな問題に対する私たちの理論的展望は変化し、批評の語彙も多様化した。そして気候変動に直面し、今までになくアクションを起こす必要があると感じている。自然対文化という基本的な二分法は、今や時代遅れのように思われる。現代の人類学は、自然宇宙に対する人類の理解が、関係性のダイナミズムの中にあることを証明している。この理論に従えば、自然は常に文化を通して認識されるゆえ、前者と後者という概念を比較することはできない。
今日の庭園(それが私的なものであれ、公的なものであれ)には社会的責任があるように思われる。つまり、持続可能な生物多様性の保全と支援につながる。植物は、それぞれの種に特有のニーズと行動、そしてそれらがどのように相互作用するかを考慮した上で、厳密に選択される。また、それらが育まれる場所の特性や季節による変化も慎重に調査される。
このようなイデオロギーと現状を踏まえて、庭園の未来はひとつなのか。関係性を重視した学際的なアプローチに基づいているのだろうか。庭園の未来は、生ける者との真摯な対話から鍛えられることに賭けてみたい。
参加に関して
本フェスティバルでは、参加者が学際的なチームを結成することが奨励されている。カナダ国内外のランドスケープアーキテクト、建築家、ビジュアルアーティスト、チームを問わず、プロポーザルの応募は可能。応募は国内外から可能で、個人またはチームとして一提案にまとめる必要がある。
本フェスティバルの主旨に沿う庭園のデザインを募集し、フェスティバルの芸術・技術委員会により、彼らのプロジェクトが最も映える場所を特定する。庭園デザイナーは、少なくとも2年以上の夏のあいだ展示する庭を熟慮の上、展示終了後に庭やその素材を再利用またはリサイクルするための戦略を提案するよう求められる。過去3回(2020年、2021年、2022年)の本フェスティバルに出展したことのあるデザイナーは、本募集の対象外とする。電子提出期限は、2023年11月20日(月)17:00(東部標準時)。その他応募に関する詳細は公式サイトより確認できる。
インターナショナル・ガーデン・フェスティバル
北米で最も重要なイベントのひとつで、毎年開催される世界有数のガーデン・フェスティバル。2000年以来、100万人以上の来場者に15カ国のデザイナーによる250以上の現代的な庭園を鑑賞する機会を提供してきた。
レ・ジャルダン・ドゥ・メティス レフォード・ガーデン
カナダ、ケベック州のセント・ローレンス川とミティス川の岸辺に位置する。熱心な庭師であり植物収集家でもあったエルシー・レフォードによって1926年から1958年にかけて造られ、国の史跡に指定されている。レ・ジャーダン・ド・メティスは北米でも有数の庭園とされ、ケベック州東部とガスペイ地方を訪れる人は必ず立ち寄る場所となっている。