156フォントを有するスーパーファミリー
フォントワークスが、初のオリジナル欧文書体「Yo One」を2023年9月28日(木)にリリースした。「Yo One」はフォントワークス書体デザインディレクター ヨアヒム・ミュラー゠ランセイが制作。欧文書体が持つさまざまなバリエーションを複数の軸で体系化したフォントシステムであり、156フォントを有するスーパーファミリーとなる。
大きくは6つのファミリーで構成され、まず「セリフ・サンセリフ」の2スタイルに分かれ、それぞれに書体の特徴を表す「リニア・セミ・コントラスト」の3フレーバーがある。各ファミリーが13ウエイトで展開され、それぞれにローマン体とイタリック体の2アングルが用意されている。
6ファミリー(2スタイル×3フレーバー)× 26サブファミリー(13ウエイト×2アングル) = 156フォント
これらのバリエーションの中から、フレキシブルにフォントが選択できる。
Yo Oneスーパーファミリーは、一つの字形から出発し、セリフの有無、コントランスの強弱など異なる特徴をもつ書体へ展開されていく。統一されたルールで設計されたスーパーファミリーなので、セリフとサンセリフなど異なる特徴を持つフォントを組み合わせて使用しても調和を保つことができる。ブランディングなどで視覚的な統一性が必要なシーンにも最適の書体。
美しさと実用性を極めた、ネオヒューマニスト書体
Yo Oneは、ぬくもりを感じる親しみやすさと、信頼性と実用性を兼ね備えた汎用性の高い書体で、現代的でクリーンかつ鮮明、あらゆるニーズに対応する書体としてデザインされた。
全てのスタイルの基礎となっている骨格は「ネオヒューマニスト」。
欧文書体の歴史の中で、1950年台に急増したネオグロテスク・サンセリフに対して、より読みやすさを向上させたヒューマニスト・サンセリフが台頭。これらはカリグラフィの手の動きを取り入れ、自然に書かれたようなストロークを再現しており、ネオヒューマニスト書体はそれがさらに発展したものである。
文字ごとの形状の違いが大きく、識別しやすい。特徴的なのは「C」「e」「3」などに見られるオープンカウンター形状で、開口部を広く取ることにより、判別性や視認性が向上した。
ヨアヒム・ミュラー゠ランセイ
1961年にドイツに生まれる。スイスのバーゼル・スクール・オブ・デザインでグラフィックデザインを学び、日本を含む各国のタイポグラフィコンペティションで優勝するなど高い評価を受ける。世界数ヶ国の学校で教鞭をとり、グラフィックデザインやタイポグラフィに関する記事や作品を出版物に掲載。そのほかに、海外複数社の情報デザインとVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を担当。2018年にはソウルのフォントメーカーYOON Design社の欧文のデザインディレクターとして活躍。2020年から、フォントワークス社に加わり、現職の欧文書体の書体ディレクターに就任。