2年3ヶ月の改修工事休館を経てリニューアルオープン
広島市現代美術館は、約2年3ヶ月にわたる改修工事休館を経て2023年3月18日(土)にリニューアルオープンする。美術館の再開にあたり、全館を用いた特別展「Before / After」を2023年3月18日(土)から2023年6月18日(日)まで開催する。建物改修の前後を比べてみると、一見して違いがわかる場所もあれば、わかりづらいが言われてみれば変わったことに気づく、という箇所もある。本展では美術館建物の改修工事という出来事を契機に生じる「前 / 後」をひとつの足がかりとして、さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目する。
経年によるものの変質や劣化、そして修復による対応は作品や資料を収蔵する美術館では避けては通れない問題である。また、広島の中心地に建設されて県の産業奨励館として知られていた建物は、被爆後にはヒロシマを象徴する遺構へと姿を変え、原爆ドームという愛称のもと都市風景の一部となっている。都市を破壊して人々に健康被害をもたらした核エネルギーは、その後原子力発電のエネルギー源として世界に繁栄をもたらすとも信じられた。このように、歴史を振り返ると、いくつもの分岐点としての出来事や決断があり、変更や変化が起こってきたことに気づく。過去からなにを学び、どのような未来を見ているのか。
本展では、社会の変化やシステムにおける綻び、隠され葬り去られた過去や歴史があることを敏感に察知し、作品として発表してきたアーティストたちを取り上げる。彼らはそれぞれのやり方で出来事と真摯に向き合い、変転や変遷のあとさきを静かに想起させる、美しく力強い作品を発表してきた。これらの作品を通じて、さまざまな事象の「まえ」と「あと」とを想起し、変化の有無や差異を認識するのはもちろんのこと、さらにその背景や一連の顛末によってもたらされる功罪や意義を省察する機会となればとの願いが込められている。
出品作家(45名 / 組)
靉嘔、石内都、伊藤公象、井上覚造、大岩オスカール、岡本太郎、デニス・オッペンハイム、オノ・ヨーコ、河原温、コウミユキ、笹岡啓子、鴫剛、四國五郎、下道基行、新生タイポ・プロジェクト(岡澤慶秀、岡本健+)、SUPERFLEX、菅井汲、ナンシー・スペロ、髙橋銑、高山良策、竹村京、田中功起、田村友一郎、蔡國強、土田ヒロミ、殿敷侃、毒山凡太朗、2m26、シリン・ネシャット、ダラ・バーンバウム、浜田知明、ジョン・バルデッサリ、平田尚也、吹田文明、キース・ヘリング、細江英公、松澤宥、南薫造、宮川啓五、ヘンリー・ムーア、森村泰昌、ヤノベケンジ、横山奈美、若林奮、和田礼治郎
「リニューアルオープン記念特別展 Before / After」 開催概要
会期 | 2023年3月18日(土)から2023年6月18日(日)まで |
時間 | 10:00 ~ 17:00 |
休館 | 月曜日 |
前売券 | 広島市現代美術館オンラインショップ |