カイトサーファーのための静寂の隠れ家

建築事務所 Akbが手掛けたコテージはカナダのジョージアンベイに位置するPointe Au Barilにある。カナダでも屈指の壮大な淡水風景を誇るPointe Au Barilはトロントから北へ約3時間の場所にあり、プレカンブリア時代の岩石群が点在している。この地域は熟練のボート操縦者でも航行が難しい狭い水路が特徴で、その手つかずの自然美に魅了された人々を引き寄せている。

adf-web-magazine-whistling-wind-island-7

Photo credit: Doublespace

Whistling Wind Islandはメインランドから最も離れた島の一つで、常に変動する水位と予測不可能な天候にさらされている。この過酷な自然環境がオーナーのカイトサーフィンへの情熱を最大限に引き立てる。コテージは島の約1エーカーの土地に調和した4つの建物から構成され、風に吹かれたように見える銀色に風化したシダーシングルで覆われている。島の最も高い場所に位置し、周囲の露頭に沿って小屋やサウナ、ボート保管庫が配置され、木製の歩道で結ばれている。

これらの建物は特定の景観を好む夏の別荘とは異なり、あらゆる方向からのパノラマビューを楽しむためのデッキに囲まれている。アシンメトリックな形状が地形に調和し、室内と屋外の境界を曖昧にするガラス壁が自然との一体感を強調している。建物全体は自然素材を多用し、環境に優しい設計がなされている。

主コテージの内部は地元のMuskoka花崗岩で作られた暖炉を中心に、キッチン、ダイニング、リビングエリアが広がり、壁や天井には白く洗いざらしのシダー板を使用し、自然との調和を大切にしながら建物全体に温かみと落ち着きをもたらしている。2つの寝室を持つ主コテージと、さらに小型のバンキーが自然に囲まれた静寂の隠れ家を提供している。

Akb Architects

Akb Architectsは2004年にロバート・カステリックとケリー・バッフィーによって設立されたトロントを拠点とする建築事務所。建築と空間デザインの両方で卓越したトレーニングを受けたケリーと、建築分野での豊富な経験を持つロバートの協力によって、建物と風景がシームレスに融合した体験を提供している。その作品は静謐さと静かなシンプルさの中に温かみを持ち、エレガントで長く愛されるデザインが特徴。現在、Akb Architectsはトロントをはじめ、カナダの農村部や北部オンタリオ、アメリカのコロラド州テリュライドにおいて、さまざまな住宅プロジェクトに取り組んでいる。