アートと建築が誘う、都市生成の物語へ
第1回「前橋国際芸術祭」が2026年9月19日(土)から12月20日(日)まで、群馬県前橋市のまちなかを舞台に開催されることが決定した。1990年代の後半から中心市街地の衰退が続いていた前橋は、2016年に未来に向けたまちづくりビジョン「めぶく。」を策定。以来、藤本壮介などスターアーキテクトを次々と再開発プロジェクトに起用し、革新的でありながら周囲と調和するデザインと、アートの感性を取り入れた都市空間の再整備が、川沿いの親水空間からアーケード商店街へと広がる再開発を進めた。
元商業施設をコンバージョンした市立美術館「アーツ前橋」をはじめ、旅館をリノベーションした「白井屋ホテル」、かつて映画館があった敷地に国内屈指のコマーシャルギャラリーを集めた「まえばしガレリア」など街の記憶を引き継いだ先鋭的デザインの建築と現代アートを融合した建築が完成。そのほか、地元クリエイターが運営するアートスペース、週末ごとにイベント会場に変貌する全長約330メートルの全蓋式アーケード、近代製糸による街の繁栄を今に伝える赤レンガ倉庫群などがあり、本芸術祭ではこれらの地域の文化資源を活用したウォーカブルなアート・都市体験の創造を目指している。
- 藤本壮介と平田晃久による中心市街地再開発イメージ
- マウントフジによるJR前橋駅―群馬県庁間空間デザイン国際コンペ最優秀作品
特徴
旧市街地の再開発に放たれる、アーティストの感性と協働
現在進行形で進んでいる再開発プロセスを定点観測的に紹介、伴走・協働するプロジェクトを展開する。音楽家・渋谷慶一郎による生成型サウンドインスタレーションを社会実装するプロジェクトや、建築家・山田紗子によるアーケード商店街の一角に再開発の起点となる建築のおよぼす地域への変化を考察する。
- 渋谷慶一郎 Photo by Grégoire Alexandre
- 山田紗子
アート・詩・映画・演劇 多彩な表現があぶり出す日常の本質
前橋は日本近代詩の父・萩原朔太郎の生誕地で、その後も多くの詩人を輩出する「水と緑と詩のまち」。昨年第32回萩原朔太郎賞を『恋と誤解された夕焼け』で受賞した詩人の最果タヒとデザイナーの佐々木俊によるパブリックアートや、ダンサー・映画作家である吉開菜央が赤城山から吹き下ろす強風〈からっ風〉をテーマに映画を撮り下ろす。
この土地と街と人の物語
赤城山や広瀬川に抱かれた暮らしの原風景や、近代製糸や前橋空襲にまつわる先人たち苦難の物語を掘り起こし、グローバルなアートの文脈で翻訳・発信する。2019年に芸術人類学者の石倉敏明とアーティストの尾花賢一が発表した、数多くの伝説を残す山岳信仰の聖地・赤城山に関する半年間の取材を経て制作された《赤城山リミナリティ》の続編を予定している。
土着と国際、異彩と社会に“橋をかける”企画展
前橋市立の近現代美術館・アーツ前橋と有力ギャラリーが拠点を構えるまえばしガレリアではテーマに合わせたグループ展を開催。また、障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニー・へラルボニーの松田文登が前橋国際芸術祭のアドバイザーに就任。従来の芸術祭モデルに新たな視点をもたらすことが期待される。
まちづくりの輪をひろげる学びと交流
本芸術祭では地元のオルタナティブなアートシーンを支えてきたキーパーソンたちや、前橋を研究対象としている前橋工科大学の教員らが中心となり、街の日常に根ざした魅力と楽しみ方を伝える“まちびらき”のプログラムを展開する。2021年からアートスペース〈ya-gins〉が中心となり継続する、前橋ゆかりの作家や地域リサーチから着想を得て制作された作品を紹介している芸術祭「River to River 川のほとりのアートフェス」とも連携する。
前橋国際芸術祭2026の全プログラムと参加アーティストの詳細は、2026年6月頃の発表が予定されている。
前橋国際芸術祭2026 開催概要
| 会期 | 2026年9月19日(土)~12月20日(日) |
| 会場 | 群馬県前橋市のまちなか |
| URL | https://maebashi-biennale.com/ |

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