海辺に住む者は海を無視した考えを持つことはできない

バルト海から400メートルの歴史的に保養地として知られるこの地に、ヨーロッパ・ファミリー・センターのウェーブワンはある。コンセプトは海の波の複雑さと、ファサードに彫刻のような装飾を施すという地元の風土に由来し、これらをもとに波を連想させる5つの建物が相互に関連し合うサイトコンセプトを創り上げた。敷地内に計画されている5棟のうち3棟が建設中で、最後の建物(Wave 3)は設計段階に入っている。竣工は2023年の予定。

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South Elevation, main entrance
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

フォルム

ピエール・カローの写真シリーズ「AquaViva」からインスピレーションを受け、建築家たちは写真家が捉えた海の波の幾何学的な複雑さを分析し、ウェーブワンを囲む白いファサードをデザインした。1,362枚の三角形のパンチングパネルで構成されたファサードは、波のようにうねり、ビルの頂上を形成している。アーチ型の3Dフォルムは建築言語に変換され、ウェーブワンの最終的な形を形成した。

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South Elevation, partial facade
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

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South Elevation, entrance canopy detail
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

熱の管理

技術機器が多くある施設では24時間稼動しなければならないため、室内を過熱から守ることが非常に重要である。室内がオーバーヒートになる脅威を回避しつつ、冷却装置の大型化を防ぐために、いくつかのソリューションが採用された。例えば、大きなガラス面を使うのをやめることにより、実験室に最適な自然採光条件を提供している。さらに、建物のファサードは2層構造になっており、ファサードの外側の層は建物を連続的に保護するバリアとして機能し、外壁を遮熱することで室内のオーバーヒートを防いでいる。また、このバリアは周辺環境にも良い影響を与え、都市のヒートアイランド現象から保護する役目も担っている。

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South Elevation, partial view
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

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Main entrance hall
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

適応性

特にラボルームのインテリアについては、今後頻繁に導入されるであろう医療診断の技術革新に対応できるように設計された。密閉された自動検査装置内で検査を行う部屋は、天井が露出した構造になっており、検査室の間仕切り壁は解体しやすい構造になっている為、将来的に新しい実験装置を設置する場合でも、時間を大幅に短縮することに役立つ。

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Laboratory Main Room
Photo credit: © FAAB, Photographer: Maciej Lulko

FAABスタジオについて

ワルシャワに設立されたFAABスタジオは、ポーランド国内および世界各地のプロジェクトに携わる。建築、ランドスケープ、都市環境、インテリア、グラフィックデザインを手がけ、最先端のエンジニアリングとコンサルティングで補完している。FAABは複雑なリサーチと綿密な設計を行い、革新的で一般的ではない建物や空間を生み出している。常に進化し続ける事務所として、急速に変化し進歩する現代生活に対応するソリューションを模索し、現在より先を見据えることを志している。