モダン照明のトレンド

家に招いたゲストを驚かせるような主張のあるインテリアを望んでいるのなら、家具だけでなく、照明にも目を向けてはどうだろうか。照明を、家のあらゆる要素を引き立てる「宝石」だと考えるとよいかもしれない。照明は、空間を明るくするという機能だけでなく、自己表現のツールでもあるのだ。自己表現としての照明に、ひとつ取り入れるとよいのが「モダン照明」だろう。ここで言う「モダン照明」の定義とは何か?「モダン照明」と「コンテンポラリー照明」の違いは?そして2022年の照明トレンドは?答えを知りたければ、明かりを灯して、この記事を最後まで読んでいただきたい。

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A geometric modern chandelier

モダン照明の定義

インテリアデザインの専門家がよく選ぶ、現代のインテリア照明のテイストには、「モダン照明」の他に、ラスティック照明、グラム照明、インダストリアル照明、ファームハウス照明などがある。他のスタイルと同じ要素を共有する部分もあるが、モダン照明の特徴は、その明るさと大胆な形状によって演出される洗練された雰囲気である。

モダン照明によって、実際の空間が更に明るく照らされる。よって、キッチンや書斎など、特に明るさが必要とされる場所に適しているだろう。また、四角や丸、球体などの大胆かつ精巧な形状は、部屋に入るなり視線をくぎ付けにする効果がある。

モダン照明は、従来の芸術活動から逸脱した変革運動である「モダニスト運動」からきており、新しいスタイルと素材を活用した、大胆かつ実験的な性格を持っている。伝統からの決別、という要素を持ち合わせる一方で、新しい技術を積極的に取り入れている。

モダン照明とコンテンポラリー照明の違い

一般的には、「モダン」と「コンテンポラリー」は同じものを指すように思われるが、インテリアデザインの分野では、これらの言葉はそれぞれ異なる意味を持つ。トニヤ・リーがホームデザインのウェブサイトTheSpruce.comでこの違いについて「モダンスタイルは、1900年代初期から中期に広まったもので、自然な色味を多用します。コンテンポラリーデザインは、今現在のトレンドのことを指します」と説明している。さらに「どちらのデザインも、シンプルでスッキリした空間に合う、芸術的で滑らかな性質を持っているため、混同されることが多い」とも述べている。

モダン照明の2022年トレンド

2022年の照明トレンドに目を向けると、モダン照明時代の絶頂期であることがわかる。デザイン、デコレーション、スタイルに関する記事を掲載するHomes & Gardensで、ジェニファー・エバートは、「2022年のモダンデザインのトレンドは、ペンダント照明やエレガントさが際立つ彫りで装飾されたスタイル、そして特注のものまで多種多様である」と分析する。コロナウイルスによるパンデミックで、日常生活のあらゆることが考え直された今、インテリアデザインも例外なく、新たな始まりを迎えている。エバートによると「パンデミックのお陰で、住環境への関心が高まり、我々は家の快適さと美しさがどれほど大事であるかに気付かされた」のである。よって「照明も含めた(インテリアの)全てが、機能的であると同時に美しくなければいけない」のである。

それでは、このようなホームデザインのトレンドを踏まえた、今年のモダン照明トレンドはどのようなものなのか。

大胆なデザインのモダンシャンデリア

Homebuilding.co.ukによると、今注目されている、マキシマリストなデザインのオーバーサイズで華美な装飾を施したペンダントライトやシャンデリアの人気が、2022年も続くと予想される。アームのたくさんある豪華なシャンデリアのトレンドが続く一方で、存在感のある丸い形の照明が今きているトレンドだそうだ。

ニュージーランドのホームインテリアマガジンYourHOmeAndGarden.co.nzは、大胆な照明使いで仕上げるホームスタイリングの特集を組んでいる。この記事では、「ここ数年で、照明は影の立役者から部屋の主役へと変貌を遂げている」と書いている。大胆なモダン照明は、照明がもはや助演ではなく主演級の存在であることを強調しており、部屋に足を踏み入れた人を真っ先に感嘆させ、ムードを創り上げる大事なファクターとなっている。

モダン照明の活用ポイント:

  • 照明は全体を構成する一部でもあることを忘れない。存在感のある大胆な照明も、テーブルランプやフロアランプなどの他の照明と調和しなければならない。
  • 普通とは違う意外性のある照明アレンジを心掛ける。例えば、浴室の角に派手な照明や、椅子に腰かけるエリアの中央にオーバーサイズのペア照明を設置するなど。
  • 明るさを調整する「ディマースイッチ」への投資を惜しまない。ムードによって調光できる機能は必要。
キッチンのモダン照明トレンド

ドラマチックで華美な照明がダイニングルームに集中していた時代は終わり、今は、キッチンを明るく照らすのがトレンドとなっている。ホームインテリアのウェブサイトBobVila.comでケイティ・ノーランは「キッチンの改装をする際に、決定事項が多すぎて照明の優先順位を下げてしまいがちだが、それは絶対にしてはいけない」と注意を促す。むしろ最優先事項であるべきなのだ。ノーランが推す今年のトレンドのひとつは「モダンファームハウス照明」である。ファームハウス風の自然で温かいトーンの空間を演出する照明だが、モダンな要素を加えることで今風にアレンジできる。

キッチンのモダン照明でもうひとつ人気のトレンドは、LEDである。モダン照明を目指す人にLEDがおすすめの理由について、イギリスのホームデザインウェブサイトIdealhome.co.ukでは、以下の項目を挙げている。

  • 少ない熱放出でエネルギー効率が高い
  • 長寿命なのでメンテナンスの難しいところへの設置に適している
  • 小型化できるので、蛍光灯と比較して隠しやすい
リビングのモダン照明トレンド

ラウンジなどのモダン照明に今風の変化をつけるためのアイデアはたくさんある。HomesAndGardens.comのアイリス・ブレナンの記事では、ヴィクトリア調などの伝統的な要素とモダンを組み合わせたアイデアを紹介している。リビングルームでは、大きなシャンデリアなどの目を引くメインアイテムで仕上げるなど、「大胆さ」を取り入れるのが流行っている。デコレーションとリノベーションを扱うウェブサイトArchitecturalDigest.comで、エリザベス・スタンプとガブリエラ・ウロアは、「照明でシーティングエリアを明るく照らすことで、部屋の中心となるフォーカルポイントを作る」ことを勧めている。さらに「ムードによって調光できるディマースイッチ」の設置も推奨している。

リビングにモダン照明を取り入れるのは必ずしも簡単ではない。デコレーションアイデアを提供するウェブサイトMyDomaine.comのメリッサ・エピファノが言うには、「モダン照明についてのアドバイスは、と漠然としすぎていたり、逆に具体的すぎることが多いが、モダン照明の選択肢が豊富なので、どんな条件の空間にでも合うパターンがあるはず」なのである。個性的なシャンデリアでも、斬新なランプでも、おしゃれで存在感のあるテーブルランプでも、モダン照明をどんな部屋にもマッチさせる術を紹介している。

モダン照明の未来

モダン照明によって、インテリアデザイナーは創造性の限界を超えてデザインすることができる。Electric Contractor Magazineのクレイグ・ディルーイは、モダン照明の将来性について「2030年とその後の照明産業について」という記事で「スマート照明、直流電源、健康に配慮した照明システムなど、照明の可能性について語るべきことは山ほどあります」と言う。

LEDが低価格化し、普及が進んでいる。初期投資は多少かかるとしても、長寿命なため、頻繁なメンテナンスを必要としない。よって、今後も、派手なシャンデリアを吊るした、垢ぬけたリビングが増えるだろう。創造力をかきたてるモダン照明の選択肢が増える一方で、インテリアデザインは、包括的でまとまりのあるものでなければいけない。インテリアデザイン事務所のHOMMÉSは、「ホリスティックなインテリアデザインが目指すものは、見た目によく、快適で、物理的・精神的な健康を推進するものである」としている。

Lamps Plusの依頼による転載・翻訳)