国内最優秀賞は歩行者用信号認識プロダクト「AISIG」
ジェームズ ダイソン財団は、次世代のエンジニアやデザイナーの支援・育成を目的に、同財団が主催する国際エンジニアリングアワード、James Dyson Awardの国内最優秀賞作品を含む上位3作品を発表した。初開催の2005年から一貫して「問題を解決するアイデア」がテーマである本アワードに、今年は世界30カ国より1,900以上の応募があった。
国内審査の結果、JDA2023の国内最優秀賞は法政大学 田中 郁也、日本大学 成嶋 セルジオ 正章による、視覚障害のある人が安心して横断歩道を渡るための歩行者用信号認識プロダクト「AISIG」に決定した。
JDA2023 国内最優秀賞 AISIG
視覚障害者にとって音響信号機のない交差点を渡ることは、いつ車が通るか分からないため命がけの行為。そして交差点が渡れないために、「行きたいところに行けない」という悩みを抱えている視覚障害者が多くいる。それを解決するアイデアとして生まれたのが、「AISIG」。「AISIG」は、AIによる画像認識でリアルタイムに歩行者用信号機の色を判断し、利用者に伝えることで、視覚障害のある人が安心して横断歩道を渡れるよう手助けをするプロダクト。青の時は短い振動、赤の時は長い振動といった振動パターンの違いで、判定結果を利用者に伝達。またAISIGは白杖に装着するため、利用者は普段と同じ動作で使用ができる。
JDA2023 国内準優秀賞 洋上風力発電のブレード点検作業を行うロープ自走式昇降機
内蔵された動力でロープ上を昇降する自走式昇降機によって、洋上風力発電のブレード(翼部)点検作業を行う。従来の洋上風力発電の点検作業は高所作業のリスクが伴っていたが、「ロープ自走式昇降機」でこの課題を解決することができる。ブレードにロープを張りその上をこの昇降機で往復させ、カメラを使用してブレード上の汚れや破損を点検。限られた空間でも簡便に点検システムを敷設することができ、点検作業に伴うコストや電力損失を削減し、安定的な電力供給を維持することが可能となる。
JDA2023 国内準優秀賞「carari」
自閉症スペクトラム障害の人に向けた集中のコントロールをサポートするツール「carari」。自閉症スペクトラム障害の特性である視覚的優位を生かし、ブロックが積み上がった高さで回数・時間を可視化し、進捗把握を促す。また、ビー玉を転がし止まった場所に従ってあらかじめ決めた行動をとることで、意識を外に向け十分な時間休憩をとることを手助け。これにより集中力をコントロールすることをサポートし、過集中を防ぐことが可能となる。
今後の審査の流れ
上記3作品を含む各国作品群は国際第2次審査に進み、TOP20作品が選ばれ、ダイソン創業者兼チーフエンジニアのジェームズ ダイソンによる国際最終審査に進む。選考結果は、TOP20を2023年10月18日に、最終結果を11月15日に発表予定。国際最優秀賞受賞者には、賞金約477万円、国際準優秀賞には約80万円が贈られる。また、ジェームズ ダイソン アワードのInstagramやDyson Newsroomでも最新情報を適宜が案内される。