世界的に活躍する日本を代表するデザイナー、原研哉本人が厳選した自身のスケッチを初公開

原研哉による初のスケッチ・ドローイング集『DRAW』日本語版が美術出版社より2024年12月24日(火)に発売された。スイス、バーデンを拠点とする出版社Lars Müller Publishersより英語版が発売され話題となった本書は、手を動かし描くことでデザインを生み出す、原のクリエイティブの源泉に迫るもの。本書を通じ、原の多岐にわたる活動の変遷を追うこともできる。

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原研哉『DRAW』表紙

概要

本書は、ロゴデザイン、ポスター、展覧会、書籍など多岐にわたる仕事のすべてをスケッチやドローイングから始めるという原による初のスケッチ集。彼の活動を、初期から現在に至るスケッチを通じて見ることで、思考の根源やデザインという営みのリアリティを物語る1冊となっている。原自身が本書のアートディレクションにも関与し、仕様から紙面デザインまで、原のデザイナー思考を体現している。さらに、彼のデザイン哲学やその表現のルーツに迫るテキストも収録している。

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2005年愛知万博シンボルマークのスケッチ。自然の叡智に思いを巡らせつつ。(原研哉『DRAW』より)

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書籍のかたちで展覧会を編集し、詳細な建築の機能や見せ方を計画していく。オーケストラの指揮者は、楽譜を読み込むために一定期間引きこもり、楽譜の解釈に集中するという。全ての楽器の詳細なパートを感覚に刻み込むのだろう。このスケッチの作業はそれに似ている。(原研哉『DRAW』より)

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JAGDA「ヒロシマ・アピールズ」のポスターのラフ。制作したのは右の1点だか、もう1点も対で作りたかった。(原研哉『DRAW』より)

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波の打ち寄せるリズムは呼吸と同じ毎分18回であるとか。人間の血液の成分と海水の成分は酷似している。人間は海かもしれない。あるいは、人間の中に海がある。(原研哉『DRAW』より)

原研哉

1958年生まれのデザイナー。日本デザインセンター代表取締役社長、武蔵野美術大学教授。世界各地で「RE-DESIGN─日常の21世紀」や「HAPTIC─五感の覚醒」などの展覧会を展開。長野オリンピックや愛知万博で日本文化に根ざしたデザインを実践。2002年から無印良品のアートディレクターを務め、松屋銀座、蔦屋書店、GINZA SIXなどで活動。2008年、2009年に北京・上海で個展を開催。2016年にミラノ・トリエンナーレで「新先史時代─100の動詞」展を開催。外務省「JAPAN HOUSE」では総合プロデューサーとして活動。2019年に「低空飛行─High Resolution Tour」を立ち上げ、観光分野に新次元のアプローチを試みる。受賞歴には日本文化デザイン賞、講談社出版文化賞、亀倉雄策賞、紫綬褒章など多数。主著に『デザインのデザイン』(岩波書店 '03年)、『白』(中央公論新社 '08年)、『低空飛行』(岩波書店 '22年)などがある。

原研哉『DRAW』書籍概要

価格4,400円+税
仕様B5変型判、並製本、352⾴
ISBN978-4-568-10585-8 C0070
URLhttps://tinyurl.com/3ex36p8u