総合開館30周年を記念した展覧会第一弾
「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ - この日常を生きのびるために -」が東京都写真美術館で2025年2月27日(木)から6月8日(日)まで開催される。鷹野隆大は東京都写真美術館の重点収蔵作家で、写真集『IN MY ROOM』(2005)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞し現在も国内外で活躍を続ける写真家、アーティスト。鷹野は『IN MY ROOM』に代表されるセクシュアリティをテーマとした作品と並行し、〈毎日写真〉や〈カスババ〉といった日常のスナップショットを手がけ、さらに東日本大震災以降、「影」を被写体とした写真の根源に迫るテーマにも取り組んでいる。
本展のタイトルである〈カスババ〉とは、鷹野の代表的な作品シリーズのタイトルであり、カスのような場所(バ)を意味する造語。本展では、日常をテーマとしたスナップショットシリーズを中心に、初公開作品も含めた約120点を紹介。写真のみならず、映像、インスタレーションと多岐にわたる表現方法で、実験、再編しながら新たな表現に挑戦し続ける鷹野の制作に迫る。
本展のみどころ
総合開館30周年を記念した展覧会第一弾
東京都写真美術館は、写真・映像の専門美術館として1990年の一次施設開館を経て、1995年恵比寿ガーデンプレイス内に総合開館した。2025年1月に総合開館30周年を迎える。本展はその記念となる展覧会の第一弾として、当館の重点収蔵作家である鷹野隆大の多彩な作品を、展示構成からグラフィックデザインまで趣向を凝らし紹介する。
展覧会タイトル「カスババ ーこの日常を生きのびるために—」に込めた想い
鷹野は、1998年から毎日欠かさず写真を撮ることを自身に課し、現在進行形で膨大な数の写真を生みだしている。本展ではその中からセクシュアリティ、日常、影といった主題を軸に、これまでの未発表作品を多数紹介。日常の光景のありのままを、むき出しのイメージとして見る者へ提示する。決して美しいものばかりではない、私たち自身が生きる今を肯定し、再発見していく展覧会となる。
鷹野の多彩な表現方法を用いた作品と、建築家・西澤徹夫による展示構成
鷹野が提示した「都市空間」をキーワードに建築家・西澤が空間を構成し、それと並行して鷹野も作品構成を更に変化させてくという複層的なプロセスを幾度となく重ねていった。印画紙に直接焼き付けるフォトグラムの技法や、古典技法を用いた作品、映像や、インスタレーションといった様々な手法を用いた鷹野の作品が、動的な表現へと昇華する。都市になぞらえ、整然と整備された公園や、煩雑な路地裏、相矛盾する要素を取り入れた空間を自由に回遊し、鷹野の世界観を体感できる展示構成となる。
グラフィックデザイン
本展のグラフィックデザインは、2024年JAGDA第26回亀倉雄策賞を受賞した北川一成が担当。モノクロのイメージと、鷹野の作品の印象を3色の帯状のグレーで表現した2種類のデザインは、特徴的な文字組と余白表現で、本展を強く印象付けている。
主な出品シリーズ
鷹野隆大 (Takano Ryudai)
1963年福井県生まれ。セクシュアリティをテーマに1994年より作家活動を開始。2006年、写真集『IN MY ROOM』で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。毎日欠かさず撮ることを自らに課したプロジェクト〈毎日写真〉を 1998年に開始し、その中から日本特有の無秩序な都市空間の写真を集めた『カスババ』を2011年に発表。その後、東日本大震災を機に影をテーマに様々な作品制作に取り組んでいる。2021年、個展「鷹野隆大 毎日写真 1999-2021」(国立国際美術館、大阪)を開催。2022年、第72回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(美術部門)、第38回写真の町東川賞国内作家賞受賞。
「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ - この日常を生きのびるために -」開催概要
会期 | 2025年2月27日(木)~6月8日(日) |
時間 | 10:00~18:00(木・金曜日は20:00まで)※入館は閉館30分前まで |
会場 | 東京都写真美術館 2階展示室 |
休館日 | 毎週月曜日(ただし、5月5日[月]は開館、5月7日[水]は休館) |
料金 | 一般700円/学生560円/中高生・65歳以上350円 |
URL | https://tinyurl.com/ykttyepf |