デザイン性を追求し、素材の豊かさ、多彩な文化的要素を融合したアルマーニ / カーザの世界観と美学
デザイナー ジョルジオ・アルマーニがよく口にする言葉「刺激的な手直しと引き算」を思い起こさせる今回の展示は、出発点から完成品に至る創造の旅を想像し、その本質を感覚的に理解することができるように構成されている。展示会場となったアルマーニ / シーロスの削ぎ落とされた空間において、アルマーニ / カーザの世界観と美学を更に強く打ちだしている。
ここ数年、私はアルマーニ / カーザをデザインする時、自分のスタイルの本質的な部分を表現することに焦点を合わせてきました。ファッションと同様に、アルマーニのスタイルを定義する基本的な要素を再確認する必要性を感じているのです。新作コレクションは、ミラノサローネで発表するためにデザインされたもので、私の美学をあらゆる側面から表現しています。今回初めてアルマーニ / シーロスを会場として使ったことで、アルマーニ / カーザの世界に没入し、感動的な体験をしていただける展覧会のような場を創ることができました。
ジョルジオ・アルマーニ
今回の展示は、アルマーニ / カーザのインスピレーション、ブランド創設時のテーマ、そしてこれまで繰り返し言及してきた1930年代と1940年、東洋、特に中国と日本のイメージと美学、旅行、そして自然の世界などのテーマを通して、ブランドのDNAを解き明かすジャーニーであり、『WATER』『DECO』『LIQUID SILK』『JAPAN』『CHINA』『BAMBOO』『TIGERS』『SAILING SHIP』 の8つのテーマをそれぞれ動画と併せて紹介し、クリエイティブプロセスを紹介するメイキング映像で締めくくられる。
WATER
アルマーニの世界は生命と再生の象徴である水から始まる。このコンセプトの背景写真は、穏やかと平和を意味し、水中の環境は自然からインスパイアされ、1930年代から1940年代のエレガンスを表現するようなグリーンと無垢な質感。
DECO
洗練された素材使いと特別な仕上げは、アルマーニ / カーザの製品の特徴でもある。木材、大理石、石英、貝殻がアールデコを思わせる直線的タッチを生み出し、マザーオブパールのモザイクタイルの空間が触覚を刺激する。人々を魅了する卓越の技術は「OLIVIA」デスクなどの家具に用いられている。
LIQUID SILK
ファッションと家具をつなぐ重要な要素がファブリック。オリエンタルを思わせる色調とシルクの流れるような滑らかさはクッションやアクセサリーをインテリアの隠れた主役に仕上げる。シルクの素材がもつ柔らかな特性は、「MORFEO」ベッドにも更なる快適さをもたらす。
JAPAN
視覚と触覚を楽しませる柔らかな曲線は仕上げ、テクスチャー、トリートメントのバランスに優れ、抽象的な日本の伝統的要素と家屋建築からインスパイアされている。「CLUB」バーキャビネットの表面は漆塗り加工、屏風と同じジャガードシルクの扇形模様の生地を内側に貼り込んでいるなど、日本を色濃く表現した新作ファブリックが目を引く。
CHINA
中国をテーマにしたスペースでは、東洋の美意識が抽象的に表現され黒で統一された空間に漆塗りの「JYLIA」チェアが4つのローブを描くようなイメージで配置。喜びと幸運を象徴する色である赤と、黒以外の色彩のない空間が強烈なコントラストをなしている。
BAMBOO
自然界もまたアルマーニのインスピレーションの重要なテーマであり、トンボが軽やかに羽を休める竹の垂直な流れは凛とした空間を作り上げている。重力の法則に逆らうような印象さえ与える軽さを表現したカナレット材の輪郭がコンパクトかつエレガントな「SHARON」 chairやレトロな魅力を持つ「SUITE」 valet standなどが展示されている。
TIGERS
自然、旅行、エキゾチシズムの発見は、今年の干支である虎を描いた絵画によって表現されている。「RENOIR」ソファを虎のモチーフを用いた「SAO PAULO」ファブリックで覆い、シュールなテイストで自然との融合と力強さを感じさせる。
SAILING SHIP
地域の伝統と異国文化のバランス、そして過去と現在の対話は、帆船に捧げられた絵からインスパイアされる。20世紀初頭の客船の座席に着想を得た「PASCAL」アームチェアや、カナレット・ウォールナット材とプレキシガラスの脚を組み合わせた「SPACE」テーブルが発表された。