イタリアのメタルインテリアブランド「De Castelli」の新作は「biomorphic」がテーマの金属とデザインの融合
イタリアのメタルインテリアブランド「De Castelli 」が、ミラノサローネ2022にて新作を発表した。「biomorphic(バイオモルフィック)」がテーマの展示は、熟練した職人の手仕事によって表現された、有機的なフォルムのオブジェが特徴。プロジェクトの大小にかかわらず、銅、真鍮、鉄を駆使して作られた作品は、世界中から高い評価を得た。
「BIOMORPHIC」がテーマのブース展示
まず来場者の目を引いたのが、建築家ロベルト・ニコレッティがデザインした真鍮製のデスク「アンブロシア」の大きな卵型のフォルム。ハンマーによる叩き出しの技術は、柔らかく有機的なフォルムを作り出し、真鍮の表面に沿って不思議な光の反射を生み出す。デスクとして機能する「アンブロシア」は、卵形のフォルムに切れ目を入れてテーブルトップとしている。また、Adriano Design、Francesco Forcellini、Luca Pevere、Martinelli Venezia、Elisa Ossino、Stormo Studio、Zanellato/Bortottoとのコラボレーションによる新しい家具や装飾品など、独特のスタイルを持つイタリアのデザイナーとDe Castelliとの対話により生まれた作品の数々が展示された。
De Castelliのサン・マルコ寺院へのオマージュ:モザイク画
De Castelliのショールームでは、ヴェネツィアとサン・マルコ寺院の貴重なモザイク画に敬意を表して、Zanellato/Bortotto(ザネラート/ボルトット社)の解釈により、時間と空間における物質の変化とその進化を物語る「Tracing Venice展(ヴェネツィアを辿る)」が開催されている。サン・マルコ寺院のモザイク画を撮影したアンドレ・ブリュイエールの写真にインスピレーションを受けたデザイナーデュオのザネラート/ボルトットは、この水の都を金属で表現することを構想。そこにDe Castelliが、銅、真鍮、スチールのモザイクに酸化処理、ブラシ、侵食処理を施し、6つの素晴らしい絵画的描写を作り上げた。これらの絵画的描写は、金属加工におけるDe Castelliの研究と技術を見事に表現しているとともに、奥行きと光の関係性からユニークな効果を生み出した。これらの作品は、ヴェネチアの状況・環境の脆さを呼び起こし、何としても保存しなければならない資産の重要性について警鐘を鳴らしている。
ミラノ大学にて展示されたアントニオ・マラスとのコラボレーション作品
サルディーニャ島出身で「KENZO」のレディースコレクションのディレクターも務めたファッションデザイナー、Antonio Marras(アントニオ・マラス)とDe Castelli社の社長のAlbino Celato(アルビーノ・チェラート)との出会いから生まれたコラボレーション作品「I Giganti」は、ミラノ大学の中庭に設置されている。中庭の8本の柱がインスタレーションに変身した作品は、De Castelliの最先端のレーザーカットと曲げの技術で形作られ、真鍮や銅の酸化と腐食によって最終的な質感と特徴が与えられている。
De Castelliについて
2003年、金属加工職人の由緒ある伝統を受け継ぐAlbino Celatoによって設立されたDe Castelliは、スチール、銅、真鍮などの金属加工にデザイン言語を導入し、デザイン、クラフトマンシップ、先端技術の間に絶え間ない対話を生み出している。長年にわたり建築家とのコラボレーションを追求し、ヴェネチア建築ビエンナーレやミラノ万博のための格調高い建築や特別プロジェクトを生み出し、またデザイン界の有名企業とのパートナーシップも展開している。