TOKYO MIDTOWN AWARD 2019結果概要
東京ミッドタウンは「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」を創造、結集し、世界に発信し続ける街をコンセプトに掲げている。その一つのアクションとして、才能ある若手デザイナーやアーティストとの出会い、支援、コラボレーションを目指したデザインとアートの2部門のコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD」を開催している。2019年度のコンペティションには計1,278点の応募があり、グランプリ、優秀賞、ファイナリストの全16点の受賞、入選の受賞作品が決定。受賞および入選した16作品は2019年10月18日から11月10日まで、東京ミッドタウンのプラザB1オープンスペースで展示されている。発表されたグランプリ作品、作品コンセプト、審査員の総評は下記の通り。
デザインコンペティショングランプリ
テーマ:THE NEXT STANDARD
作品名:《すべてティッシュでできたティッシュペーパー》
受賞者:河合航路、南和宏、西川佳織
<作品コンセプト>
199組のティッシュペーパーと1枚の少し厚手のティッシュペーパーでできています。最後の1枚はボックスの内側をティッシュとして使います。ムダはひとつもありません。サステナブルであり、機能を追求した真っ白な外観は、インテリアとしての美しさも兼ね備えています。このプロダクトを通して、たった1枚の紙を大切に想う気持ちを伝えたいです。これがティッシュペーパーの「THE NEXT STANDARD」です。
デザイン部門審査員全体総評
デザインコンペでは、「THE NEXT STANDARD」をテーマに作品を募集し、1,016作品の応募がありました。
今回の応募数は前回とほぼ同じですが、コンペとしての着実な成長を実感しています。全体を見渡すと、テーマの解釈と解決の表現がさらに巧みになった印象を持ちました。意欲的なテーマでしたが、応募者の皆様に高いレベルでお応えいただきました。コンペの目指す新たなビジョンが浸透した結果でしょう。また、社会インフラや仕組みという観点での提案が多かったことは、これまでにない特徴でした。
アートコンペティショングランプリ
テーマ:応募者が自由に設定
作品名:《made in ground》
受賞者:井原宏蕗
<作品コンセプト>
ミミズが排泄する糞塚は、土であり、排泄物であり、生き物がいた痕跡である。私はそんな糞塚をミミズが作った彫刻と捉え、それらをそのままの形で、窯で焼成し陶にするプロジェクトを行なっている。華やかな六本木という街で「糞」は排泄物として嫌われるが、それらは循環の一部であり、生きた証である。縁の下の力持ちであるミミズが地下で造った糞塚を、六本木の地下の会場で展示することで、私たちの未来について考えたい。
アート部門審査員全体総評
アートコンペでは、テーマは「応募者が自由に設定」とし、東京ミッドタウンを代表するパブリックスペースであるプラザB1を舞台に、場所を活かしたサイトスペシフィックな作品を募集し、総計262作品の応募がありました。
最終的に上位に残ったのは、東京ミッドタウンという場の特性を活かしながら、それぞれの作家性を強く感じさせられる作品でした。今年度の傾向としては、絵画作品が最も多く、その次に立体、インスタレーションが続く形となりました。関東圏からの応募が多い状況が続いていますが、前回から増加傾向にあった他地域や海外からの応募作品も、存在感を増してきています。更に、今年度は、自然と人間の関係に対して鋭い目を向ける作品が多く、応募作品から、東京ミッドタウンという場所が持つ特性が新たに見出される場面もありました。各審査の過程で、作品や作家の熱量に触発された審査員たちによって活発な議論が交わされ、6作品の受賞作を決定いたしました。