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“Voices without borders” Etel Adnan + Simone Fattal, Kindl Museum in Berlin Review

慎重にゆっくりナイフでバターをパンに乗せた。同じ様に、絵の具をキャンバスに乗せる、というような絵があった。鮮烈な色彩で構成された小さめの作品群は、その大きさ以上の迫力をviewersに与える。 丸、長方形、線。シンプルな形は自然の形を模写するようだ。太陽、山、景色。 ”色彩の直接的な美しさ”を追い求め絵画作品を作り続けた、Etel Adnan(1925 in Beirut - 2021 in Paris)はレバノン系アメリカ人の詩人、哲学者、ビジュアルアーティストである。

同じ部屋にテラコッタのオブジェが立っている。ケアフリーに作られたオーガニック調の作品はシリア系アメリカ人作家のSimone Fattalによるものだ。表面に作者の指が押し込まれている。何万年前に描かれた手形の洞窟画を思い出す。この二作家、それぞれの作品はそれぞれの息遣いを持つと共に融合体でもあり、雲と太陽のように同じ”空”に存在する。

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Etel Adnan, installation view, 2023 @ Kindl, Center for Contemporary Art

驚くほど、気取りがなく愚直な二人の作品は茶室にいる時の詳細に気を配る感覚とそれを裏切る” グニャっとした心地よいクッションの間に挟まったような感じだった。彼女らの作品のスケールで人を圧倒させようとか、そういう事は頭の中に一切ない。人をあえてすごいと思わせない邪念のない自信が作品から伝わってくる。美はシンプルで、ハッピーで正直だ。絵の中に飛び込んでみたいと思う様な、Adnanの色彩コンビネーションは真似ができないくらい暖かく、楽しく、美しく素晴らしい。描かれるべきものは描かれ、描きたくないものは描かない。それは Adnan自身が詩を書くときと同じようなプロセスなのだろう。

Fattalのセラミック作品も印象的だった。特に彼女の作った”雲”だ。タイトルが雲”Cloud”で無かったら、印象はだいぶ違っただろう。空気と水でできた雲を粘土のなんとも言えない形で固体化している。

邪念を取り除きピュアにものづくりをするというのは年々、高齢になるにつれて難しくなった様に思う。自分に正直で居ないといけないと思えども、それは容易ではない。

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左;Simone Fattal テラコッタで作られた作品 右;Etel Adnan

人々は美を語ることを恐れ、美しい(beautiful) という形容詞を使わなくなった。美しいと言ったり、表現したりするのは感性力だからだ。やはりソーシャルメディアの影響も強いのだろう?作り手や観覧者の価値観も、それと同時にどんどん移り変わって来ている。

ただ、この展覧会を通じて”美しいものは美しい”というシンプルでまた原点に行き着くところに作品が存在している事を考えると、頭をポンと叩かれた様な気がする。

ひと昔、笑福亭鶴瓶氏がテレビで”結局、可愛い人は可愛い”と語っていたこと。シンプルに的を得ていて感動したのを覚えている。

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Etel Adnan, installation view, 2023 @ Kindl, Center for Contemporary を得ていて感動

作品を見ているとあえて綺麗に塗りつぶしたり、歪んだ様な形をそのままの表現として完成させているところは、自然な要素であると言える。

一つ残念だと思ったことがある。展覧会会場を埋めるために設置された大きい壁一面の複製画だった。これはAdnanのスケッチを何百倍かに拡大したものであると、後で見てわかった。会場の空白感を補う展示意図だろうが、正直つまらない。大きな会場を埋め尽くした雰囲気作りには成功していると思うが、他に方法が果たしてなかったのだろうか。

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Simone Fattal ”Cloud"

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Simone Fattal ”Cloud"

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Etel Adnan, installation view, 2023 @ Kindl, Center for Contemporary art

最後に、Adnanは言う”私の描くGeometric paintingでさえ政治的だ。不運なことが世界で起きていてもそれと同時に私は人生を愛している。絵自体が幸せであると言うのは不運や問題に対してのビクトリーでありレジスタンスだ。それは政治的であると言うこと。例え、状況が悪くても私たちは幸せでいなければならない” ハッピーな作品を作り続けると言うことはレジスタンスで政治的なのだと。AdnanとFattalは長年連れ添ったパートナーだったこともわかった。それは二人の作品を見てもわかる。個々を尊重すると共に自然に溶け合い、織り合い、会話を紡ぎ出している様に見えたからだ。

Etel Adnan & Simone Fattal “Voices without borders” 情報

Open12/26/23, 12/31/23, 1/1/24
Closed12/24/23 and 12/25/23
HoursWed, 12pm-8pm Thurs-Sun. 12pm-6pm
VenueAm Sudhaus 3 12053 Berlin
Entrance feesYOU for KINDL: 10 euros KINDL for YOU:7 euro Reduced:4 euro
URLhttps://www.kindl-berlin.com/adnan-fattal

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