信仰の対象を失った時代における彫刻の持つ意義を問う
彫刻家・コムロタカヒロによる個展「The Hollow Ritual」がHENKYOで2025年10月18日(土)から11月15日(土)まで開催される。2年ぶりの新作木彫作品展となる。コムロは、戦後日本の国家的信仰崩壊と自身の宗教体験の断絶という二重の喪失を背景に、像を彫る行為そのものを精神の依代を彫り出す営みとして実践してきた。
本展は信仰の対象を失った「ポスト宗教」時代において、彫刻がなお何を祀りうるのかを問う試み。三つのシリーズによる展開からなり、ホラー玩具やRPGのラスボス的造形を引用した《Mushussu》では恐怖と消費の美学を交差させ、「崇高さ」を再構築。《Heads》シリーズでは、PEZヘッドや晒し首、首像といった異なる制度を重ね合わせ、祀りと断罪の両義性を提示している。壁付け祭壇に設置されたソフビ製ドラゴン像は、コレクションケースという現代の「私的祭壇」を逆用し、彫刻の形式を玩具へと還元する反転の実験を行う。祀る対象が失われた時代に、なお祀る形式を手放せない人間の姿──その倒錯と可能性を批評的に可視化する展示となっている。
コムロタカヒロ個展「The Hollow Ritual」開催概要
| 会期 | 2025年10月18日(土)~11月15日(土) |
| 時間 | 12:00~19:00 |
| 会場 | HENKYO |
| URL | https://henkyo.jp/ |

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