不幸な歴史の上でのみ語られてきたアフリカを概念的に塗り替える
近年世界で注目されているアフリカン・アート28点をナイジェリア出身の現代アート作品で展観する「AFROMATIC TOKYO 2022 -ビューイング-」を、2022年8月30日(火)から9月2日(金)まで、代官山ヒルサイドテラスエキシビションルームで開催する。本企画は2019年、ベルリンで開催されたNigerian Culture Dayから構想を得ており、日本で初の試みとなる現代アートとファッションの総合イベントAFROMATIC TOKYOは今後香港、上海、ソウルでの開催を視野に入れている。
多様な文化、知的かつスピリチュアルな信仰の源と言える大地、アフリカ―。何世紀にもわたる侵攻と文化的略奪に苦しんだ大陸。こうした過去の悲劇にもかかわらず、アカデミアやアートの分野において、アフリカン・アートは様々な表現を用いた知的で大胆な文化として、幾度もの苦難を乗り越え再生してきた。アフリカ文化の根底に脈々と流れる強靭な生命力と精鋭性は世界のアートシーンにおいても注目され、グローバルなアートマーケットでは最先端のアートラバー達がアフリカン・アートに注目している。初回となる本年はアフリカ屈指の経済大国として世界的にも大きな存在感を放っているナイジェリアのアートにフォーカス。アフリカン・アートはポストコロニアリズムを象徴するような多文化内包とその葛藤が表れ、海外で活躍するアーティストはより都会的な視点がある一方で、現地で活動するアーティストはサステナブルな素材の活用など、自然との対話が大きいのが特徴。暴動、貧困、紛争、奪略という不幸な歴史の上でのみ語られてきたアフリカを概念的に塗り替え、さらにはグローバルなアートシーンを席巻する最先端のアフリカン・アートの今を取り上げる。
みどころ
- アフリカ大陸が生んだ気鋭の作家による生命力あふれる作品群
- 日本初公開のナイジェリアの現代アート作品27点を一挙公開
- アフリカ特有の歴史と文化、社会的背景を根底にしたアート
代表的な作品
作家プロフィール
チュクウマは1973年ナイジェリアのンスカ生まれ。ナイジェリア現代アート界における著名作家の一人であり、絵画、彫刻、家具デザイン作家として活動している。環境問題に強い関心を持ち、作品にリサイクル材を用いている。熱狂的なファンが海外にもおり、ナイジェリア国内外で精力的に活動する。大学時代に彫刻家El Anatsuiの教鞭の元で学び、その出会いが彼の作品には大きな影響を与えたと自身が語っている。現代のナイジェリアアートで第一線をゆくチュクウマは、ナイジェリア、ガーナ、カメルーン、フランス、デンマーク、オランダ、トルコ、米国で多くのソロ及びグループ展に参加し、海外オーディエンスを魅了している。
アリミ=アデワレの「Migration (移民)」シリーズはアフリカにおける移民問題をテーマにしている。アフリカの人々の絶え間ない国境の先への旅、その先には大陸を超えた旅が続いていることを表現している。
ウスマン=ワハブの「Ballerina(バレリーナ)」シリーズは空中を踊るイメージをモチーフに用いて、多くの観衆へオプティミズムのメッセージを伝えている。『たとえ多少の恐れがあっても、風に流され気楽に考えよう。』バレリーナのCカーブのポーズは、作家の不安からの解放の表現でもある。
本展示のテーマは「航海者の宝」と名付け、アフリカ大陸が生んだ23作家による25年間の現代アート作品を収集したものになります。この23作家はすでに評価の確立した作家に加え、新鋭の注目若手作家から構成されています。作家は様々な色相、筆遣い、メディアを駆使し、政治、文化、商業、移民などアフリカ大陸の希望の物語を語りかけます。この力強い作品たちに私たちは歴史と未来への希望を感じずにはいられません。
キュレーター / グレース・オシメ
「AFROMATIC TOKYO 2022 -ビューイング-」開催概要
会期 | 2022年8月30日(火)から9月2日(金)まで |
会場 | ヒルサイドテラス エキシビションルーム |
時間 | 10:00~19:00 |
入場 | 無料 |