現代美術家・神谷敬久の個展「1967 PLASTICS -2022 SDGs-」がkojin kyotoにて開催
京都・鴨川のほとり、東山を望むイベントスペース 「kōjin kyoto」にて、現代美術家・神谷敬久の個展「1967 PLASTICS -2022 SDGs-」が、2022年11月26日(土)から12月2日(金)まで開催される。本展では、神谷による〈Blue Wrapping〉シリーズの新作「熱風彫刻」が発表されるほか、写真家・淺井愼平が神谷の「熱風彫刻」を写真に写した作品も展示される。
1951年に静岡県浜松市で生まれた神谷敬久は、先進的で刺激的な「アメリカ」に憧れる少年時代を過ごした。当時、神谷は映画『卒業』(1967)の中である男の言葉を確かに聞いた。彼は「これからはプラスチックの時代だ」と自信を持って言い放ったのである。
〈Blue Wrapping〉シリーズは、2021年に古希を迎えたことを機に現代美術家としての再スタートを切った神谷が「終活」として始めたアートワークである。2021年のシリーズ第一作目では、大きな貯金箱やワニの木彫作品、ブリキの車やフィギュアなど、職業デザイナーとして長年大切に残してきた資料を青いテープで包む作品を発表した。ガラクタと呼びながらも人生を共に生きてきたオブジェであり、それらを青く包む行為には何か儀式的で精神的なものを感じられる。
今回神谷が支持体/メディウムとして選んだのはペットボトルである。プラスチックが英雄から悪者にされてゆく過程を目の当たりにしてきた神谷は「ホットワード」が構築する現代社会に対し懐疑的な目を向け、ウイットな悪戯を仕掛けた。
ペットボトルに熱風を与え歪ませ、その一部を自身の大切な資料と同様に青く包んでいく。これまで世界を先導してきた敬意をもってミイラの如く埋葬しようとする行為なのか、はたまた厄介者とされた憐れみをもって新たに形を与え救い生かそうとする行為なのか。いずれにしても「熱風彫刻」の偶然〈必然〉の歪みや重なり、青や透明の耀きが私たちを惹きつけるのは確かである。
丁寧に手当てされたディテールからは神谷のモノ〈存在〉と向き合う作家としての姿勢や、神谷とモノ〈存在〉との関係を見ることもできる。外界との関わりを得たペットボトルは、不完全ながらも自由を享受する。また気が付くと私たちもここに在るひとつひとつの段階を、身体をもって愉しんでいるはずだ。それは大量生産品から個の存在へと生まれ変わっていく過程であって、カタチが獲得され姿が現れてくる過程であっ て、日常から非日常への広がりである。
そして、本展の注目ポイントは、写真家・淺井愼平の参画である。神谷の作品や目指していることが写真を撮るという行為によってより客観的に整理されたものになることを期待する」と語る浅井が、神谷の「熱風彫刻」を淺井が写真に写し、同会場に展示する。
神谷 敬久 プロフィール
1978年、27歳でデザイン会社 SUPER PLANNING を創業し、デザイナー・プロデューサー・事業家としてスタートを切る。世界で愛されるキャラクターMR.FRIENDLYのプロデュースや、個性溢れるトートバッグブランドROOTOTEの立ち上げによって多くの人々を魅了した。 2004年にTOTE AS CANVASでグッドデザイン賞 商品デザイン部門を受賞。2016年にはセツ・モードセミナーに在籍し、セツ展で3331賞を受賞。2019年より本格的にアーティストとしても活動を開始した。
淺井 愼平 プロフィール
写真集「ストリート・フォトグラフ」「ビートルズ東京」で独自の視点が注目され、1966年に写真家としてデビューする。その後、映画撮影や音楽、脚本、小説、俳句など幅広い分野で多才ぶりを発揮し、1977年の「VAN JACKET」ハウザースポーツポスターでの ADC賞受賞をはじめ数々の賞を受賞。美術館館長や大学院教授を務めるなど学術的な場でも活躍した。シンポジウムへの参加やメディア出演も積極的に行っている。
「1967 PLASTICs -2022 SDGs-」開催概要
会期 | 2022年11月26日(土)~12月2日(金) |
会場 | kōjin kyoto |
時間 | 12:30~19:30 |
入場 | 無料 |