特異な作風で絵画空間の拡張を試みる
OIL by 美術手帖ギャラリーで、吉野もも「余白の深淵」展が2023年9月15日(金)から10月9日(月・祝)まで開催。特異な作風で絵画空間の拡張を試み、視覚的なしかけを利用した描写で絵画と空間の関係性を探求する、アーティスト 吉野ももの新作を発表する。また、本展出品作品は、会場および、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」で販売する。
吉野は、モノとの関係性を探る作品を通して、⽇常に⻲裂を⼊れるかのような新たな異空間の創出を⽬指す。自身が収集した襖、陶器、めんこなど、日常の中に潜む古き良きモノを素材に用い、それぞれの図柄に、遠近法の奥行きを加えることで表出する余白のおもしろみに着目した新作を発表する。吉野のつくり出す余白のなかに身を置くように、会場で作品の生み出す空気を感じることができる。
アーティストステートメント
奥行きを描くことの目的は、絵画を拡張すること。絵の中に空間をつくることで、絵画の外側、例えばその作品がかかっている壁と関係が生まれて、その壁も作品になる。見えない絵の一部のつぶのようなものが画面から飛び出し、展示室に漂い、空間に拡張して、観る者をも巻き込んでいく、そんなイメージだ。フレームの内側を描きながら、外側まで作品が存在している空気感をつくる。
かつて描かれた絵も、何も無いように見える余白にこそ、何か在るかもしれない。墨の濃淡で描く空気遠近法に、西洋で発達した線遠近法を掛け合わせてみる。元の絵の余白だった部分を前面に押し出し、地と図を反転させている。モノに宿る記憶と対話しながら、新しい異空間を生み出す。
吉野もも
作品紹介
参考作品
吉野もも / Momo Yoshino
1988年東京生まれ。2012年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業、2015年東京藝術大学大学院油画専攻修了。視覚的なしかけを利用し、絵画と空間の関係性を探求する。変形パネル上に折紙の凹凸がそこに在るかのように描いたシリーズや、実際の構造物に奥行きを描画し、周りの環境と干渉し合う作品を制作。近年の主な展示に、18年 個展「being」rin art association、20年「天王洲アートフェスティバル」、22年 個展「Make It Simple」三越コンテンポラリーギャラリー、「Encounters in Parallel」ANB Tokyoなど。また、2020年に高崎と天王洲にそれぞれ壁画を制作、現在も見ることができる。2021年にはTOKYO TORCH Parkにて奥行き92.5mの巨大な路面ペインティングを制作した。今回の個展では、モノとの関係性を探る新作を発表。既存の絵に奥行きを与え、新たな異空間を創出する。
吉野もも「余白の深淵」開催概要
会場 | OIL by 美術手帖ギャラリー |
会期 | 2023年9月15日(金)から10月9日(月)まで |
時間 | 11:00〜21:00 |
入場 | 無料 |
URL | https://bit.ly/3P9Di71 |