物の魅力を引き出す造形力に焦点を当てたグループ展に国内外の作家が集結
メグミオギタギャラリーは2025年4月に銀座の新スペースへ移転し、そのオープニング企画として、グループ展「もののかたち」を2025年5月16日から6月21日まで開催する。本展は「物の魅力を引き出す造形力」に着目し、伝統技法と革新性、視覚的驚きと詩的な感覚を兼ね備えた、国内外の作家による多彩な作品を紹介する。
同ギャラリーは2007年の設立以来、伝統的な技法や素材を用いながらも、独自のアプローチで仕上げる作家、またはストリートカルチャーやグラフィティを通じて情熱的な表現を生み出す作家を取り上げてきた。日本における美術以前の「ものづくり」には、ただ写実や技巧に留まらず、見る者に驚きと喜びをもたらす表現が存在した。メグミオギタギャラリーは、この精神を現代の視点で再解釈し、同様の感性を共有するアーティストを世界から集めて発信している。
出展作家紹介
中村ケンゴ
日本画の伝統と現代文化の要素を融合させ、「ひらがな ぺいんてぃんぐ」や「自我曼荼羅」などのシリーズで注目を集める。近年では台湾や日本各地での展覧会でも高く評価されている。

中村ケンゴ Gadji beri bimba 2025 80.3 × 80.3 cm Mineral pigment, pigment and acrylic on Japanese paper mounted on wood panel (framed)
土屋仁応
伝統的な木彫技法と革新的な造形力を組み合わせ、神秘的な存在感を放つ彫刻作品を展開する。仏像制作にも通じる技術をもとに、独自の彩色法や玉眼技法を取り入れている。2025年には富山県美術館で個展を開催。
田中福男
耐熱理化学ガラスを素材に、インサイドアウト技法を用いた繊細で立体的な作品を制作。自然界の構造を想起させる造形と、金属を蒸着させた独自の色彩表現により、ガラスに宿る小宇宙を描き出している。
蝸牛あや
日本刺繍の伝統を踏まえつつ、祈りの象徴としての刺繍に新たな物語性を与える作品を手がける。一針一針に精神性を込め、記憶や旅の痕跡を重ねる詩的な表現が特徴。全国巡回展などでも注目を集めている。
岩月ユキノ
日常の風景をやわらかな筆致と色彩で描き、生活の中にある静かな感動や再発見の瞬間を提示する。光や風景を通じて生の手触りを伝える油彩画を制作し、国内外で発表を重ねている。
山口長男
日本抽象絵画の先駆者として知られ、原始的で土着的な形象を通じて、風景と内面の融合を試みた作品を展開。1940年代から独自の造形世界を築き上げ、現代にも影響を与え続けている。
ティルト
フランス出身のグラフィティアーティスト。都市の壁面やランプへのタグからキャリアをスタートし、混沌や痕跡を色彩と構成で再構築する。分割された壁画は、スケール感と都市的なリアリティを保持したまま作品化されている。
トラヴ
ロサンゼルスを拠点に活動する現代作家。ストリートカルチャーと正統派美術の両領域を横断しながら、消費社会や都市構造をテーマにタイポグラフィ建築絵画を展開。日本では本展が初展示となる。
ヘイドナ
韓国出身のアーティストで、シンプルかつ洗練された構成により、ペットと過ごす日々の情景を詩的に描く。緻密な線と限られた色彩で構成される作品には、静かな物語性と親密さが込められている。日本での初展示となる。
「もののかたち」開催概要
会期 | 2025年5月16日(金)から6月21日(土)まで |
会場 | メグミオギタギャラリー |
時間 | 12:00〜18:00 |
休館 | 日・月・祝 |
URL | https://tinyurl.com/34zd7vbw |