イタリア国立21世紀美術館にて展示
130年以上にわたって技術の研鑽を積み重ねてきたブルガリは、イタリアを代表するメゾンとしての使命のもと、MAXXI(イタリア国立21世紀美術館)とともに若手アーティストの支援とプロモーションを推進するプロジェクト「MAXXI ブルガリ・アワード」において、若手芸術家の支援と育成を行ってきた。今年で第3回となったエキシビションではアレサンドラ・フェリーニ(1984年 フィレンツェ生まれ)の『Gaddafi in Rome:Notes for a Film』が大賞となり、シルビア・ロッシが観客賞を受賞した。両作品はMAXXIにより購入され、MAXXI Arte コレクションに加わる予定。
授賞式は2022年10月25日からMAXXIで行われ、本エキシビションキュレーターのジュリア・フェラッチと、最終選考に残ったアレサンドラ・フェリーニ、ナムサル・シエドレッキ、シルビア・ロッシによるトークショーが行われた。授賞式には、ブルガリCEOのジャン-クリストフ・ババン、MAXXI財団会長のジョヴァンナ・メランドリ、MAXXI芸術監督のホウ・ハンルー、MAXXIディレクターを務めるバルトロメオ・ピエトロマーチ、WIELS現代アートセンターディレクターのダーク・スナワート、ローマにおけるさまざまな主要イベントの評議員であるアレッサンドロ・オノラートが出席。
ルーツ、子孫、記憶といったテーマを、叙情性と皮肉の狭間で現代的な視点で扱ったことが、「地政学的な歴史における論争の的となる事実を表現する能力に長けており、歴史やジャーナリズムの物語における公式かつ正統な方式に挑戦している。特に、写真、文章、映画などの記録資料を分析し、ポストコロニアル時代における人権と地球市民権の擁護に不可欠な研究の役割を反映し、新しい物語に再構成する点での強さとバランスが高い。と評価され、アレサンドラ・フェリーニの『Gaddafi in Rome:Notes for a Film』が選ばれた。また観客賞は、『Teacher Don't Teach Me Nonsense』で55%を超える票を集めたシルビア・ロッシが受賞した。
美の多様性と実験を通して、異なる未来を想像する重要性を表現する能力を評価された3人のファイナリストにお祝いを申し上げます。また、アレサンドラ・フェリーニさんとシルビア・ロッシさん、ご受賞おめでとうございます。この賞はMAXXIとブルガリというイタリアを体現する世界的有名企業との強固な協力関係のおかげで年々大きなものとなり、イギリスのターナー・アワードやフランスのデュシャン・アワードに並ぶ偉大なアワードとなっています。MAXXI ブルガリ・アワードはアーティストがその才能を発揮し、人々がそれを発見するための重要な場です。このアワードは私たちの批判的思考を刺激し、自由、記憶、多様性の中にある豊かさ、そして自然と人間に対して向けられるべき敬意について語る芸術を通し、私たちが思いを巡らせる機会を与えてくれます。芸術は私たちに踏み出すべき道を教えてくれるのです。
MAXXI財団理事長 ジョヴァンナ・メランドリ
第3回目の開催となる今回、MAXXI ブルガリ・アワードがイタリアと世界のアートシーンにおいて重要な役割を担っていることを改めて認識しました。このエキシビションとアワードは、アイデンティティや帰属意識といった概念について考えるため、私たちに個々の世界観の境界を越えることを指し示してくれる若いアーティスト達の考えを見せてくれます。彼らの作品は私たちが変化に向き合うことと、共有された価値観にしたがって変化していくことを促します。
ブルガリ グループCEOジャン‐クリストフ・ババン
エキシビションについて
第一展示
アレサンドラ・フェリーニによるビデオインスタレーション『Gaddafi in Rome:Notes for a Film』。この作品はイタリアとリビアの友好パートナーシップ協力条約の調印のため2009年にイタリアを初めて公式訪問したカダフィ大佐をノンフィクション映画特有の自己言及的なアプローチで表現している。情報の役割と複雑な地政学的事象の関係について考察し、現代の視点からイタリアと過去との関係を分析している。
第二展示
ナムサル・シエドレッキの作品『Nuovo Vuoto』は、6つの手からなる彫刻インスタレーション。それぞれが異なる素材と形状で作られており、置かれている台座の素材も石膏とセメント、ハイマツの木材、テラコッタ、ポリスチレン、ポリウレタン、ブロンズ、吹きガラスと様々。物質の加工と進化、そして別の状態への変容にフォーカスした点が特徴となった作品である。シエドレッキは錬金術師のようにさまざまな要素や技術的な解決策を扱い、変化を示している。
トーゴ系イタリア人のアーティスト、シルビア・ロッシの一連の作品は写真をアイデンティティと記憶の研究のツールとして扱い、最後に『Teacher Don't Teach Me Nonsense』という作品により締めくくる。彼女の作品は日常生活の出来事を通して自身の家族の歴史とアイデンティティの遺産を再構築。写真、ビデオ、オーディオの3つを使用したインスタレーションで構成されるこの作品でアイデンティティが主張する過程における言語の重要性に焦点を当て、トーゴで起こった植民地支配のプロセスによって常態化した構造的な問題を考察している。
アワードの歴史
2000年に「Premio per la Giovane Arte」として創設されたこのアワードは、MAXXIアルテ・コレクションの原点であり、発祥の地でもある。このアワードは長年にわたり、多くのアーティストが目指す登竜門となってきた。2001年以来10度目の開催となり、マリオ・アイロ、ユーリ・アンカラーニ、ヴァネッサ・ビークロフト、ロセッラ・ビスコッティ、ジョルジオ・アンドレオッタ・カロ、ステファノ・アリエンティ、ミコル・アサエル、ローザ・バルバ、マッシモ・バルトリーニ、トマソ・デ・ルカを含む48名のアーティストが参加している。2018年にMAXXI ブルガリ・アワードとなった際の初の受賞作品は、タリア・チェトリット、インヴェルノムートとともにファイナリストとなったディエゴ・マルコンの『Ludwig』で、MAXXIにより購入された。2020年はジュリア・センシ、レナート・レオッタとともにファイナリストに残ったトマソ・デ・ルカが受賞している。