切り抜きを再構築したコラージュ作品

VAGUE KOBEはオランダを拠点に活動するアーティストRuth van Beek（ルース・ファン・ビーク）の展覧会を2024年1月19日から2月26日まで開催する。日頃から雑誌や書籍の切り抜きを集め、それらを再構築するコラージュ作品を制作することで知られているルースの最新刊「The Oldest Thing」を中心とした今回の展覧会では、2023年12月まで東京のブックショップPOSTで展示した作品に加え、ルース自身がVAGUEのためにセレクトした特別な作品も展示する。

また、同時開催となる同じオランダ出身のデザイナー・Kirstie van Noort（カースティ・ヴァン・ノート）の展示販売も行う。今回はイギリス・コーンウォールの鉱業による様々な廃棄物を利用して制作されたプロダクトを展示する。シンプルな形と、自然から引き出された美しい色合いの磁器を楽しむことができる。

Dolly (Figure 135),
Ruth van Beek
2022
Collage with photo and gouache painted paper,
hand-stained grey wooden frame
22 x 27 cm / framed 31.4 x 35.1 cm

見どころ

ありふれたオブジェクトが、ルースの手によって独自の身体と生命を持ち、命を宿しているように見えるのが特徴的な彼女作品は、自ら収集したアーカイブに目を向け、折り曲げたり、切ったり、色を塗ったりするシンプルな手法で作品を生み出している。今回新しく刊行された「The Oldest Thing」の制作は、ルースの母が残した3冊のバインダーに触発。作り込んだインデックス、手書きの文字、変色したページに愛着が湧き、何気ない日常に彩りを添えるものだと思い、大切に保管している。暖かい気持ちを紡ぎながら、時間の経過によって歪められてしまう思い出。その開かれた結末や不完全さが、彼女の作品に漂っている。

Frame (Figure 72),
Ruth van Beek
2021
Collages with photo and
gouache painted paper,
hand-stained grey wooden frame
17 x 12 cm / framed : 28.4 × 22.6 cm

Table with bowls, plates and
cuts (6),
Ruth van Beek
2023
3 single cut outs unframed paper, acrylic
paint, gouache, archival tape
55 x 65.5 cm

Blush one (Figure 89),
Ruth van Beek
2021
Collage with photo and gouache painted paper,
wooden frame with
museum glass
10 x 8 cm / framed 19 x 23.5 cm

ルース・ファン・ビーク　プロフィール

1977年生まれ。膨大な量の雑誌や書籍の切り抜いたイメージのアーカイブから、写真における既成の視覚的な記号を使用したコラージュ作品を制作。世界中で展覧会を行い、多くの雑誌に取り上げられる。アートブックに2014年のAperture Photobook of the Year Awardにノミネートされた「The Arrangement」（RVB Books、2013）、「How To Do The Flowers」（APE ＆ Dashwood Books、2018）などがある。The Ravestijn Gallery（アムステルダム）に所属。

カスティ・ヴァン・ノート　プロフィール

2011年にデザイン・アカデミー・アイントホーフェンのMan and Well-Being学科を卒業後、2012年より自身のスタジオを設立し、アイントホーヘンを拠点に活動している。イギリス・コーンウォールで行われたカオリンと白磁の製造工程についてのデザイン・リサーチがMaterial Awardを受賞。2014年佐賀県・有田焼のプロジェクト「2016 / Arita」によるアーティスト・イン・レジデンスに参加し、2ヶ月に渡って現地の陶器製造についてリサーチを行った。