鉄という素材と向き合ってきた40年

彫刻家・多和圭三個展「奥遠く」が原宿 StandByB1_Storageで2024年5月23日(木)から6月9日(日)まで開催される。本展は40年以上鉄という素材と向き合い作品を作り続けている多和のキャリアを回顧する展覧会で、旧作新作を含む立体作品9点と、黒鉛を用いた平面作品24点、鉄粉とインクを紙に染み込ませた半立体の作品5点が展示される。

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鉄の塊をハンマーで叩き続け、その叩いた行為の痕跡を物質の表面に残すことで作品へと変貌させてきた多和の作品制作は、非常にダイナミックで動的な手法をとりながらも、そこから生み出される作品には日本人としての控えめで繊細な性質を多分に感じさせる。ドローイング作品においても紙と黒鉛の素材感を生々しく露呈させ、黒鉛と紙がぶつかり合ったという表現が適切であるほどに力強い筆跡を画面に残しつつ、それでいて非常に穏やかな印象を留めている。長年制作を続けこれほどまでに素材の質感を感じさせる多和の作品群は、デジタル社会に生きる鑑賞者に問いかけるものがある。

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Keizo Tawa “Untitled” 1997, Iron, 700 x 195 x 130mm(a set of 9)
©Keizo Tawa Courtesy Hino Gallery Photo by Tadasu Yamamoto

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多和圭三

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Photo by Tadasu Yamamoto

1952年(昭和27年)、愛媛県大三島生まれ。彫刻家。日本大学芸術学部卒業後、同大学非常勤講師、武蔵野美術大学非常勤講師、多摩美術大学教授として教佃をとる。2020年に退職。「鉄を叩く」という独自の彫刻スタイルを確立し、個展・グループ展に多数参加、国内外から高い評価を得ている。1994年には旧・新日鉄本社ビルにおいて「第3回STEEL ART展」に出品。東京国立近代美術館にも作品が所蔵されている。1995年公益信託タカシマヤ文化基金新鋭作家奨励賞受賞。2003年第33回中原悌二郎賞優秀賞受賞。 2007年文化庁買上優秀美術作品。2010~11年にかけ足利市立美術館/栃木、町立久万美術館/愛媛、目黒区美術館/東京を巡回する個展「鉄を叩く―多和圭三展」を開催。

多和圭三 個展「奥遠く」開催概要

会期B1_Storage: 2024年5月23日(木)~6月15日(土) 日曜、月曜休廊
StandBy: 2024年5月23日(木) ~6月9日(日)休廊日:無し
時間12:00~19:00
会場StandBy
B1_Storage
URLhttps://tinyurl.com/2jx7e6wv