5組のアーティストが"無為と作為の間に陶芸の表現領域を確立する

KOTARO NUKAGA（六本木）で5組のアーティストによるグループ展「When I Kiss You, I Can Taste Your Soul」を2024年4月13日（土）から5月25日（土）まで開催する。本展ではステファニー・ハイエ、川井雄仁、ハイディ・ラウ、レベッカ・マンソン、多和田有希＋福本双紅という4カ国5組のアーティストが、「セラミック（陶磁器）」を用いて表現領域を探求し、その境界線と可能性を拡張する。

Heidi Lau《Smoking》2019Heidi Lau《Smoking》2019

本展のみどころ

「陶芸」の器という実用的な用途があることが背景となり、古くから「芸術」と「工芸」の狭間の独自の立ち位置をとってきた側面に注目し、「焼成」を経ることによってアーティストの「作為」の熱を冷まし、「コントロールのできないもの」「無為」といった"世界との美しい再会"を目の当たりに出来る展覧会となっている。また、展覧会タイトル「When I Kiss You, I Can Taste Your Soul」には、キスが単なる身体的接触ではなく、相手の魂、相手そのものを知ることとなるよう、"アーティストの示す「セラミック」作品との出会いが芸術の本質、芸術の魂の姿を知ることになる"との願いが込められる。

ステファニー・ハイエ(Stephanie Temma Hier)　プロフィール

カナダのアーティスト、ステファニー・ハイエの作品は機知に富む。ハイエは「食べる」という人の根源的な行為をテーマとし、超現実的で時に不穏なタブローを形成。写実的な絵画とそれを取り囲むフレームの役割を果たす陶芸という二つの要素には、同等の意味の重みが与えられている。

Stephanie Temma Hier《Awful Bliss》2024Stephanie Temma Hier《Awful Bliss》2024

川井雄仁(Kazuhito Kawai)　プロフィール

有機的で艶かしくもグロテスクな形状の器を作り出す作品は、さまざまな色、形、あるいは極小の粒が何層にも重なり合い、結びついている。それらは人を根源的に捉える未分化な魅力であるエロスを漂わせ、観る人を非言語的な世界での対話へと誘う。

川井雄仁《Tonight,Tonight》2023

ハイディ・ラウ(Heidi Lau)　プロフィール

マカオ生まれのハイディ・ラウは母親の死をきっかけに中国の漢や秦の時代の埋葬品について研究し、それらの探究を自身の芸術活動に統合させている。個人の歴史、ポルトガルの植民地時代の文化、さらには精神世界という別々の世界を接続するタッチポイントとなるようなオブジェとして表現され、鑑賞者をその構造物に迷い込むように促す。

Heidi Lau《Another Birthed from the Sea》2023Heidi Lau《Another Birthed from the Sea》2023

レベッカ・マンソン(Rebecca Manson)　プロフィール

ニューヨークを拠点とするレベッカ・マンソンの細心の注意を払って構築された彫刻作品は、素材が持つ耐久温度よりかなり高い温度での焼成、執拗な焼成の繰り返しなど、伝統と慣習によって作られてきたこのメディウムの繊細なルールに対し、高度な知識と技術を背景とした無頓着さと裏切りによって形作られている。

Rebecca Manson《Tireswing》 2023Rebecca Manson《Tireswing》 2023

多和田有希＋福本双紅(Yuki Tawada and Fuku Fukumoto)　プロフィール

滑らかな白い肌理と焼成時の釉着を積極的に取り入れた作品で知られる福本双紅は、近年現代写真のアーティストの多和田有希と共に活動。陶芸と写真というメディアの境界を超え、それぞれのメディアの常識を揺さぶり合いながらコラボレーションを実現し、複雑な視覚言語と立体表現を実現している。

多和田有希＋福本双紅《blue on blue 7》2023　©Yuki Tawada and Fuku Fukumoto photo by Hikari Okawara

多和田有希＋福本双紅《mirror,mirror (velly）》2022　©Yuki Tawada and Fuku Fukumoto