感情、記憶、夢。内なる実感から、世界のありようを鮮やかに描き出す

銀座 蔦屋書店では、フカミエリ個展「ファース・オブ・フィフス」をアートウォールにて2023年4月15日(土)から5月2日(火)まで開催する。フカミエリは、自らの感情や記憶、夢を創作に投影させ、世界のありようを鮮やかに描き出すアーティスト。カラフルな色彩で描かれ、記号化されたかのような人物の表情、背景に溶け出した身体、生き生きとした草木や動物、虫といった自然のモチーフ。adf-web-magazine-firth-of-fifth

ファンタジックに描かれたフカミエリの作品は、一見現実からは対極のものが描かれているように感じらる。しかし、これこそが彼女の中にある世界。日々、人に出会い、社会と接したときに抱いたさまざまな感情を率直に、ありありと眼前に提示する。フカミエリの生みだす抽象表現は、個人的な経験であるにもかかわらず、鑑賞者の中にある記憶や夢、無意識に潜む原風景を思い起こさせる。最近の作品では、自身の視点を複眼的に表現するのみならず、同じ物語に他者からの視点も加えるなど、新たな生々しさを湛えている。また、「記号化された」人物の表情にも変化の兆しが見られる。本展のタイトル「ファース・オブ・フィフス」は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド「Genesis」の曲名から取られ、美しいピアノのイントロから始まる劇的で幻想的なこの曲がフカミエリの世界につながっていく。

「ファース・オブ・フィフス」

春が来る。私が忘れ、限りなく憶えているものを描こう。
彼らはそこに立っている。青い海の中、森の中、夢の中、焚き火の中、星空のもっとなか。
宇宙という名の、短い100年が過ぎていく。
ざっと言う音で心はうなずき、沈黙で我にかえる。
目が、耳が、口が、手が、鼻が、身体が、心が確かめあっている。
いつまでもいつまでも、あなたを探して。

フカミエリ

フカミエリ / Eri Fukami

大阪生まれ。東京藝術大学油画科在学中。自分と世界の間に存在するであろう「心のある場所」をテーマに制作している。

フカミエリ個展「ファース・オブ・フィフス」開催概要

会期2023年4月15日(土)から5月2日(火)まで
会場銀座 蔦屋書店アートウォール
入場無料