海面上昇についての対話をパブリックアートインスタレーションから生み出すTIDAL
気候変動の影響は世界中で見られ、フロリダ州セントピーターズバーグのショアエーカーズ地区も例外ではない。ショアエーカーズ周辺はすでに海面上昇の大きな影響を受けており、時間が経つにつれてその影響を受けるリスクがさらに高まる。米国海洋大気庁はこの地域の海面上昇は2100年までに9フィート以上に達する可能性があると予測している。
この海面上昇率は平均的な海面上昇の約5倍に相当し近隣住民を危険にさらしている。気候変動については人々の不安を煽り圧倒する形で語られることが多いため、このような重要な問題に対して耳を傾けたり話し合ってみるといった機会が失われ、将来的な影響や回復力を高める方法についてアナウンスする際に問題となっていた。
このようなことからTIDALはNOAAの主要なデータを活用し、The Urban Congaによってデザインされた魅力的なアートインスタレーションとして表現することで、遊びを通して気候変動に関するオープンな対話を促す起こすことを目的としている。この作品によって障壁を取り除き、考え、語り合うの機会を作るための重要なツールとして使用している。
TIDALはフロリダ州セントピーターズバーグにある新しいショアエーカーズ・コミュニティ・レクリエーションセンターの入り口に設置され、近隣の人々が定期的に集まり互いにつながり、関わり合う憩いの場所となっている。この作品は人々や周囲の風景、そしてそれらの相互作用に反応して常に変化するコミュニティのランドマークとして設計され、今後78年間で2フィートの上昇という強靭な目標に対し、9フィートの海面上昇を予測するNOAAのデータを用いて作成された。データとこの地域の平均的な潮汐パターンを活用て周囲の状況を反映し屈折させる一連の流れるような柱を作り出し、建物の内外を行き来するメイン通路に沿って砕ける波のように作用し、桟橋の柱のように潮の満ち引きの変化や水位上昇の指標となるようにデザインされている。また通り過ぎるたびに作品に自分が映り込んだり、見る角度によって作品の色が変わったりする。TIDALはその遊び心のあるデザインによって、ユーザーや建築物、風景との会話を弾ませることきっかけとなる。
TIDALはリサイクル可能なポリカーボネートとアルミニウムでできており、フロリダ州セントピーターズバーグで製造され作品の二酸化炭素排出量を軽減するために役立っている。また作品には消費電力の照明が使用され、雨水を集めるために透水性のあるプランターベッドも設置されている。この遊べるデザインをきっかけに未来への旅に役立つ開かれた対話を呼び起こすことが期待されている。
The Urban Congaについて
The Urban Congaはニューヨーク州ブルックリンを拠点とする国際的なアワードを受賞した複合デザインスタジオで、自由な遊びを通して社会活動や地域交流を活性化させることに焦点を当てた多様なクリエイター集団で構成されている。彼らはコミュニティと協力して、建築環境の中であらゆる層の人々の創造性、探究心、自由な学習を刺激する包括的で魅力的なサイトスペシフィックな機会を作り出すことでこれを実現している。彼らの作品は既存の都市インフラに絡み合ったマルチスケールの遊べる機会の生態系として日常生活を破壊することなく、むしろそれを追加する「遊べる都市」のアイデアを探求し、世界中のコミュニティ、組織、企業、自治体、施設とのコラボレーションに広がり、恒久的な空間介入、パブリックアートインスタレーション、一時的な活性化、ワークショップ、開発計画、公共政策の提言を提供している。