文化庁、日本現代アート情報を日英バイリンガルサイト「Art Platform Japan」にて公開
文化庁が実施する「文化庁アートプラットフォーム事業」の一環として、日本の現代アートに関する基盤情報を国内外へ発信するウェブサイト「Art Platform Japan」(ベータ版)が一般公開された。
文化庁アートプラットフォーム事業は、日本における現代アートの持続的発展を目指し、2018年5月に始動。現代アート関係者の意見を幅広く集約し、日本人及び日本で活動する作家とその作品が国際的な評価を高めていくための取組等を推進してきた。
その一環としてこのたび公開された「Art Platform Japan」は、3つのコンテンツを軸に、情報を公開・随時更新することを通して、国内外の研究者、キュレーター、アーティスト、学生、美術関係者や愛好家に、調査研究の一助として活用できるプラットフォームとしての役割を果たしていく。
「Art Platform Japan」の主なコンテンツ
1. 全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」
日本全国の美術館に収蔵されている作品情報の可視化および国際共有化を目指し、全国の登録博物館、博物館相当施設等のご協力を得て収集した美術館収蔵品データを集約したデータベース。3月15日時点では全国85館、約6万件の収蔵品情報および1,243件の作家情報を公開。国内外の美術研究者等が特定の作家について調査・研究し、作品の所在情報を収集することを可能にする本格的なシステムの実現のため、2022年度末までに、200館以上、約10万件の情報公開を目指し、情報を拡充していく予定。
2. 英訳文献
日本の現代アートの国際的な評価を高めることにつながる研究を喚起するため、特に需要が高いと考えられる戦後美術を対象とした未英訳のテキスト(単行本、評論、学術論文、カタログ寄稿文等)を英訳し、PDFで公開。2022年度末までに、約100本の文献を翻訳対象として選定し、翻訳が終了したものから随時掲載予定。同時代の文献が英訳されやすくなるような土壌づくりにも寄与するため、専門性の高い美術翻訳に関するスタイルガイド等の翻訳リソース等も順次公開予定。
3. プログラム
専門家同士の国際的な相互ネットワーク拡充を目的として開催されてきたワークショップやシンポジウム、連続ウェビナー、また、国際的な評価を高める上で重要な機会を得た作家への支援等に関するアーカイヴ記事を順次掲載。国内外の様々な情報源や人とのつながりが生まれ、強化されることにより、具体的なアイディアの交換や将来の共同研究および国際的な展覧会の実現につながる機会へとつなげていくことを目指し、今後も様々なプログラムを開催予定。
「Art Platform Japan」立ち上げの背景
日本の現代アートを取り巻く現場は、作家や美術館、研究者、キュレーター、ギャラリスト、コレクターなどの関係者・関係機関が個別に努力し支えてきた。しかし、それら関係者の活動を全体的に把握し、必要な情報発信を行ったり戦略に基づいた支援を行うことができず、資金調達や、人材育成等様々な面で、限界や不都合が生じていた。そのような歴史をもとに、文化庁アートプラットフォーム事業が2018年5月に始まった。本事業では、様々な立場の現代アート関係者の意見を反映することを重視し、以下の個別の課題とその克服に向けた複合的な動きを通して、世界における現代日本アートの評価向上に資するためのアート・エコシステムの形成に向けた役割や機能を担うことを目指している。