松島国際都市に次世代コンセプトの図書館
韓国の計画都市として開発が進められている松島新都市は、ソウルから西に56kmのところに位置し、仁川国際空港にほど近い経済自由地域であることからも、北東アジアの経済と観光の拠点として知られている。このたび、知的で文化的な松島新都市の側面を象徴するシンボルとなる「松島国際都市図書館」の公募が行われ、洗練されたクリエイティブな作品が世界中から集まることが期待される。
中国の建築インテリアデザイン事務所、aoeが提案する次世代図書館は、ランドマークとしてだけでなく、地域住民や観光客の交流の場としての役割も重要視している。リーディングホール(建物南側の自然風景に面している)とコミュニティ・リビングホール(建物北側の都市部に開けるように面している)を2大キースペースとして位置付け、当施設が、地域の読書や学びの場となると同時に、様々なイベントや集まりの場として活用されることを目指す。

the library are the Living Hall (North facing), which connects the outdoor public space, events, gathering, open lectures are expected to happen in this space, and the usage of the Auditorium, Community Classrooms are all accessible by the public even if the main library area is closed. Photo credit: Ramka Co
円形の建物は、周囲のあらゆる方向からのアクセスを可能にする。オープンスペースへのアクセスは最大限に、一方で近隣の幼稚園への影響は最小限にとどめる構造だ。夏の強い日差しカットと冬の採暖に適した絶妙な角度(18.5°)で傾斜する当建物は、エネルギー効率に優れた、快適で明るい読書環境やイベントスペースを創出している。さらには、自然換気、低エネルギー消費、リサイクルエネルギーなども実現し、LEED認証のサステイナブルな設計となっている。

The General Reading Hall (South Facing), this cascading space is organized into multiple reading zones to encourage different learning activities for both individual and group users. Photo credit:
aoe
枠組みは、コンクリート壁で構成したカンチレバートラス構造。ブレースは4本の対角線上に張り出された支柱のみにとどめ、空間の開放感を演出。ファサードを覆うふたつのマテリアル、チャード・ウッドとガラスのコンビネーションは、視覚的なコントラストを生むだけでなく、長寿命とメンテナンスを最小限に抑える効果もある。
快適な読書空間と多機能共用スペースを有する次世代図書館は、単機能だった図書館の概念を、人々が集う地域のランドマークとなる存在へと変貌させる。まさにスマートシティにふさわしい「スマート」な図書館である。
建物概要
プロジェクト名 | 松島国際都市 図書館 |
建築デザイン | aoe |
所在地 | 松島新都市、韓国(仁川広域市 延寿区 松同 115-2) |
延床面積 | 8199.5㎡ |