見捨てられた土地や地域を活性化する集合住宅

シェイクスピア・ゴードン・ヴラド建築事務所が、グレーと黒の石積みのファサードを彩る宝石をちりばめたような釉薬レンガのアクセントから名付けられた集合住宅「ザ・ガーネット」を設計した。ニューヨーク・ブルックリンのベッドフォード・スタイヴェサント地区の賑やかな通りで確かな存在感を示している。特筆すべきことに、103戸の手頃な価格のアパートメントを提供し、建築家とニューヨーク市の機関やプランナーが緊密に協力することで、空き地や利用されていない場所、問題のある場所を、コミュニティの都市構造を強化する、優雅でダイナミックな手頃な価格の住宅プロジェクトに変えることができることを示している点がある。

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Residential lobby
Photo credit: Alexander Severin

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Elevator lobby
Photo credit: Alexander Severin

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Corridor
Photo credit: Alexander Severin

この建物は、ニューヨーク市住宅開発公社(HDC)、ニューヨーク市住宅保存開発局(HPD)、およびHPDの任意組入れ住宅プログラム(Voluntary Inclusionary Housing Program)の中間所得者混合プログラム(Mixed-Middle Income program)を通じて資金提供を受け、ニューヨーク市地下鉄フルトン・ストリート駅に隣接する15,000平方フィート(約1,394平方メートル)の敷地に、中間所得者向けの集合住宅として建てられた。ザ・ガーネットの1階には、アパートメントに加え12,000平方フィート(約1,115平方メートル)の店舗スペースがあり、居住者だけでなく周辺住民にもサービスを提供している。

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The Garnet
Photo credit: Alexander Severin

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Front facade detail
Photo credit: Alexander Severin

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The Garnet
Photo credit: Alexander Severin

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The Garnet
Photo credit: Alexander Severin

堅牢な11階建ての建物は質感のある石積みと明るいアクセントで覆われ、心地よく視覚に訴える街路壁となっている。ファサードで最初に目に入る赤のモチーフは、ザ・ガーネットのロビーの中にも続き、すっきりとした温かみのあるインテリアと木製の仕上げを引き立てている。建物内の他の場所でも、ロイヤルブルーとティールの大胆でポップな色彩が取り入れられ、遊び心のある壁模様が各住戸の玄関に個性を与えている。アパートメント内では、水色のタイルがリビングスペースの中心をを彩り、入居者が自分好みの住戸にカスタマイズするための余地も残している。

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Front facade detail
Photo credit: Alexander Severin

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Aerial view
Photo credit: Alexander Severin

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View from Bainbridge Park
Photo credit: Alexander Severin

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Front facade
Photo credit: Alexander Severin

ザ・ガーネットが建つ場所は、以前は2戸のアパートと平屋のコインランドリーが建つだけの、ほとんど空き地か使われていない土地だった。このザ・ガーネットは大きな窓から住宅エントランスや商業店舗を見渡せるように設計され、フルトン・ストリートに活気を取り戻している。駐車場が隣接しているため、ブロックの中程に位置するこの敷地は、通常角地にしか許されない、敷地境界線に沿った窓からの採光と通風を高めるような機能を統合することができた。そのため各住戸のデザインはこれまでにない眺望と視認性を際立たせるものとなった。すべてのテナントは2階のルーフテラスを利用でき、屋外だけでなく近隣のアパートや下の通りとのつながりを強めている。ザ・ガーネットのデザインは街区を活性化させるだけでなく、手頃な価格という制約に縛られずに広がりと解放感を感じさせる住宅を実現した。

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Residential lobby
Photo credit: Alexander Severin

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Residential lobby
Photo credit: Alexander Severin

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Residential lobby
Photo credit: Alexander Severin

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Apartment kitchen
Photo credit: Brett Beyer

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The Garnet
Photo credit: Alexander Severin

このプロジェクトはULURP申請を含む複数の機関の承認を得ており、建物はエンタープライズ・グリーン・コミュニティの基準に従った持続可能な設計手法を取り入れている。ザ・ガーネットは2021年3月にオープンしている。

シェイクスピア・ゴードン・ヴラド建築事務所(SGVA)

ニューヨークを拠点とする認定女性所有企業(WBE)であるSGVAは、さまざまなクライアントやプロジェクトタイプのあらゆる規模の設計課題に対して、独創的で思慮深いソリューションを提供している。エイミー・シェイクスピア、マーク・ゴードン、ニコール・ヴラド・トーレスによって2016年に設立。2003年にエイミーが確立したレッドトップ・アーキテクツの基本原則を基盤としている。卓越したデザイン、都市の建築環境の改善へのコミットメント、クライアントへの献身的なサービスを重視している。

SGVAは、手ごろな価格の住宅、オフィス、診療所、大学施設や研究所、住宅開発、個人住宅などを設計・建設してきた。SGVAのプロジェクトには、フィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)、建物の一部または全部の改修、あらゆる規模での新築一戸建て建設が含まれる。