流動的なボリュームで没入する体験

サンジャイ・プリ・アーキテクツがインドのラジャスタン州ナトドワラにアートマ・マンタン美術館を完成した。この美術館は高さ270フィート(約80メートル)の信仰像の台座の中に、魂(アートマ)、心(マナ)、身体(タン)を総合的に組み合わせ自己を見つめるための博物館として18,000平方フィート(約1,672平方メートル)のスペースに作られている。

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

何が描かれるべきかというミュージアムのコンセプトに沿って、全体的な空間はテーマごとに細分化されており、それぞれの部屋は没入体験の中で自然の要素を描くことによって、異なる体験が演出されている。

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

大きなホワイエから入ると、意図的に流動的なボリュームとして設計された内部が現れる。壁、天井、構造柱、受付デスク、ベンチは発泡コンクリートの薄い層で均質に仕上げられ、これらの要素をすべて流動的に包み込むと同時に、音を吸収する。コンクリート・グレーに包まれたこの彫刻的なボリュームは、訪れる人々を落ち着かせ、18の連続したゾーンに入る前の静かな状態へといざなう。

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

この洞窟のようなエントランスから美術館の制作過程を描いた映像が流れる起伏のある細い廊下へと導かれる。次に、オーディオビジュアルと没入型体験を通して異なるテーマを伝えながら、各部屋に1つずつ入っていく仕組みとなっている。

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

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Photo credit: Mr. Vinay Panjwani

この美術館のデザインは複数の構造要素を持つ不規則な形状のフロアプランを扱うという難題を克服し、オーディオビジュアルと没入型体験を高めるため、全体的にニュートラルなパレットを使い、ボリュームと体験の連続した流れを作り出している。

サンジャイ・プリ・アーキテクツ

サンジャイ・プリとニーナ・プリにより設立。オーストラリア、スペイン、モンテネグロ、アラブ首長国連邦、オマーン、米国ダラスで建築プロジェクトを受注し、現在インドの36都市でプロジェクトの設計に携わっている。バルセロナ、シンガポール、ベルリン、アムステルダム、リスボンで開催された世界建築フェスティバルの審査員を務め、審査員を務めた初のインド人建築家となった。また、英国アーキテクチュアル・レビュー・アワード、英国Dezeenアワード、イタリアのプラン・アワード、オーストラリアのインデ・アワードの審査員を務め、国際大会や国内大会でも講演を行っている。